horahuki

ラバーボーイのhorahukiのレビュー・感想・評価

ラバーボーイ(2014年製作の映画)
3.5
最高のポルノサイトだな!
見てたら病気になる…

『ドールメーカー』と同じくWTC2019公開作。
良くあるスラッシャー映画だろうと思ってて、確かにその通りではあるんだけど、新鮮な舞台設定が面白くて楽しい作品でした。

というのも本作の舞台はシェアハウス。もちろんただのシェアハウスではなくて、美女だけが暮らし、24時間彼女たちの生活する姿を全世界配信するというとんでもないシロモノ。しかも美女たちは視聴者数を獲得するためにエロいライブチャットもしてくれる。なんだこれ!サイコーじゃん!

父親を事故で亡くした主人公カイリーは学費を稼ぐためにライブチャットデビューを果たすんだけど、常連ユーザーのキモデブに目をつけられて職場突撃されちゃうって感じでスラッシャー展開へと発展していくという内容。

エロサイトを検索してるPC画面と切り替えながらのオープニングクレジットでいきなり喘ぎ声バンバン聴かせてくるもんだから、絶対楽しい映画やな♪っていう確信が生まれちゃうからズルイ!しかも、プロローグが本作の方向性を的確かつ簡略に伝えてくれてる上に、短い尺にもかかわらず、覚醒するデブの行動に最低限のカタルシスと根っこにある狂人属性を乗っけてくれるから本編への期待の上昇幅が凄い。

本当はやりたくないけど色んな理由をこじつけて自分を納得させ、チャットレディとしてデビューする主人公の初配信は共感性周知的な「見てられねぇ」って気持ちになるし、罪悪感を含ませた両親の写真への目線の動きや止めようとする友人の会話から滲み出てくる痛々しさに遣る瀬無くなってくる。繋がらなかった母親への電話が繋がっていたら別の道が開けたんだろうな〜。

でもそんな気持ちになったのも一瞬で、脱ぎ始めたら即ノリノリになっちゃう主人公さんには笑いが止まらなかったし、それまで真面目に心情表現を積み重ねてたのも振り幅を全部笑いに転換するためなのかと妙に納得。通常ならもっとドロドロな女同士の人気取り争いに発展したり、途中加入のキャラとのイザコザがあったりするところなんだろうけど、そういうの全部すっ飛ばすのも、そういった本作の方向性を考えると正解なんでしょうね。

それでいて、しっかりと父親のメタファーとして物語を落とし込んでいたり、ひとつのシークエンスの中に多重的なスリルを込めたり、場面転換した後にさり気なく霧を纏わせたり、地味だけど重要なところで気を使ってるのも、遊び心の中にある真面目さというか、見た目チンピラなのに実はめちゃ誠実な好青年みたいな雰囲気出てて良い。

結局、反ポルノとしてのメッセージを込めたかったのか、反ポルノという建前なり言い訳なりをガチガチに用意した上でのポルノ万歳なのかは掴めなかったけど、そんな真面目なのか不真面目なのかなんてどっちでも良いじゃん!って感じで煙に巻くのも本作らしくて好き。

それにしても巨漢が全速力で迫ってくる圧力って凄いよね。絶望感が半端ないわ…。ちなみにラバーボーイというのはイケメン君って訳すそうです。なるほど…。
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