B5版

レディ・バードのB5版のネタバレレビュー・内容・結末

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

思春期の根拠のない全能感と理由のない焦燥感という、懐かしの感傷に浸ることができる映画。
肥大する自意識は大人への過渡期にありがちで痛々しく、しかし今となってはそれこそが若さの象徴であったと思う。

主人公は自らをバードと呼称し、今ある私を仮初めだと思い込んで真の姿を形成しようと恋人や友達を作り変えようと試みるが、思い描いた「理想」は呆気なくほど遠くこういう現実の手触りを知った時の喪失感の描写がうまいと思った。

「こうなりたい私」に対する窮屈な理想から抜け出し、古郷に想いを馳せる等身大の私のまま柔らかな空気の中で佇むラスト。
青い鳥から離れたその先で、私という実体のままに幸せに生きられる人が本当の大人なのかもしれないね。
B5版

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