ゴトウ

レディ・バードのゴトウのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
5.0
主人公がとてもチャーミングで感情移入してしまうんだけど、何者かになれる、何かを為せると信じて実際に行動に移せるような生き方を自分はしてこなかったという部分も刺され続けてるような感じがした。
レディバードはガッチリしてるし男の子っぽい顔だから、女の子みたいな(というかそういう問題じゃないくらい美しい)ティモシーシャラメが相手役?として映えてた。「ただ綺麗なだけの中身のない男」っていう使われ方もあるのね。
「私vs世界」に見えなくもないんだけど、実際は周囲のみんながとても優しいということに気づいてからもうずっと泣きっぱなし。口が悪いけど本当はいい人、というのに弱いのでお母さん絡みのシーンも泣けて仕方ない。映画の世界全部が好きになると、「悲惨さとモラルは別」「ステキな夜になりますように」とか何でもないセリフもパンチラインになってしまう。
レディバードはすごく前向きだけど実はほとんど何も上手くいってないし、多分この先ニューヨークでもあんまり思う通りにはいかないのかもしれないけど(監督の半自伝なら映画監督になるのかな)そんなことは問題じゃなくて、筋もなんてことないし着地も普通といえば普通なんだけどそんなことは問題じゃなくて、今後の人生で何回も観直したい映画だと思った。嬉しくて一人で「あーっ!」って叫んじゃうようなことなんてこの先あるのかな。
繰り返しテロのニュースが出てくるんだけど、戦争以外にも悲しいことはある、みたいなセリフが刺さった。映画を観た6月18日の朝に地震があったから、そういう意味でも忘れられない映画になったかもしれない。中盤からずっと泣いてました。大好きです。
(2018年6月19日)

2回目でもボロ泣きしました。自分が何者か(なにかはわからないけど)になれるはずと信じられる季節の終わりを感じる今観ると、冒頭、感動をむさぼるようにテープを聴き直そうとするレディバードへの母親の「常に楽しもうとしなくていいのに、余韻に浸りたい」という言葉が映画全体のまとめにもなっているように聞こえた。
あとはやっぱり、特進クラスの女の子のことを「深い意味でバカだ」と言えて、辛いことがあったら一緒に映画を観て泣いてくれる友達ってすごいよね。
外の悲劇(イラクの戦火)と内の悲劇(進路の悩み、家族の悩み)が並べられる雰囲気、こういうこと考えてたな、もしも高校生の時にこの映画が公開されていたら、そして観ていたら、人生が変わってしまっていたかもしれないな、と思った。向いてるかもと言われた演劇をサラッとやめてしまうあたり、今後彼女がなにもやり通せない可能性もきちんと示されてたのね。翼もないのに飛ぼうとする、ないものねだりの映画。
(2019年3月1日)

帰る場所としての母、故郷。着替えてまでオーディションに出るけどスベったり、「ダサい服だな」とか言われたり、空回りはしても頑張るレディバード。自分はあんなに頑張ってない。すごい。悔しい。
(2020年1月12日)
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