140字プロレス鶴見辰吾ジラ

レディ・バードの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.7
"親心、子心"

青春のブレーキの効かなさと
寄せては返す波のように
親と子の心がつかず離れず
影のように寄り添う様を
オフビートなユーモラスと
カーテン裏の苦労への罪悪感と
そして愛情の普遍性で描いた
笑って、泣ける、そんな傑作。

仕事柄、ティーンエイジャーとその親の両方の立場を垣間見ることのできるポジションにいるからだと思うが、何気ない会話の端々が楽しく、そして罪悪感を感じ、そして親の偉大さと愛情に涙し、それに答えたくて答えられない未熟な者たちへの愛しさにしてやられた。

私だって、父や母の負債になっていると罪悪感を背負いながらも何歳になっても心配で家に押し掛けてくる両親が大好きなのだ。

若気の至りの痛々しさと瑞々しさは、昨年の「スウィート17モンスター」や「勝手にふるえてろ」に通じるものがあるが、本作は爆発的なエモーションスポットの配置がなくとも90分に、愛情の裏表を親と子の両サイドからフェアに写し出し、あまりにも手際がよく笑える物語的な誇張と寄り添うような常なる愛情を感じさせてくれる。

正直、あまり欠点の見当たらない映画で、それでいてファンタジー的な線路の向こうの物語でなく、我々が常に背負う生きる上での罪悪感を救済してくれる神の視点の映画だった。