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レディ・バードのmazdaのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.4
ロンドン来てからの見逃したのやばい話題作シリーズベスト3の1つ。ようやく見れました、、!
説明不要、見たら痛いくらい感じることがある、自分の昔やその時の家族、友人、恋人との距離感、考えてた些細なことも全部、思い出さずにはいられない。

お父さんの良くも悪くも何も言ってこないでゆるっとあたたかく頼れないけど何故か安心感ははんぱない感じとか、お母さんの良くも悪くも友達っぽすぎる距離感、一緒にでかけたときの話やすさも、喧嘩の仕方も、似ているからこそ親子というより幼馴染の親友みたいな感覚とか、もう自分の両親まんますぎて、だからすごく彼女の両親がとても愛くるしくて、終始頭の片隅に自分の両親がいるような感じでみていて重ねずにはいられなかった。

私も中学1年の時転校して実家から離れた寮のある学校に入ると決めた時、何を言っても基本的に怒らない父親に相談し、あとあと母親に知らせた時ものすごく喧嘩になったのをよく覚えてる。
結局その時どんだけ喧嘩しようと反対されようと怒られようと最終的に絶対に応援してくれて、いざとなった時には絶対味方であってくれるはず。だからレディバードのお母さんがラスト泣きながら運転するシーンはもういろいろ重なりすぎて涙がとまらなかった。

どれだけ馬鹿に育とうと理解できない行動しようと、18年間育ててきた娘を嫌う母親がどこにいるんだろうか。
911の後にNYへ送り出すってこと、ずっと一緒に暮らしてきた娘と離れて暮らすこと、親にとって子供はいつまでも子供であり心配じゃないわけがない。
でも大好きな娘だからこそ彼女のやりたいことをやらせてあげたい、もっと外で学んだ方がいいかも、自分が思っているほど彼女はもう子供ではないかもっていうきもちもきっとあって、レディバードが旅立つまでのギクシャクしたあの間には、語られないけどお母さんのものすごい葛藤したきもちが間違いなくそこにあって、その全てを理解した瞬間ものすごくきゅうってなる。こんなに抱きしめたくなるお母さんいる?ってくらい愛おしかった。めちゃくちゃ可愛いかよお母さん。尊すぎ。

セックスって何歳からするもの?って聞ける娘の母への信頼度もそれに対して避妊はしてねって全否定はしにいかずに1人の女性として娘を扱うお母さんも、こんな距離感の親子関係ってものすごく素敵すぎないか?と思う。そんな彼等の関係性も一人一人の意思も全て理解してあたたかく見守るお父さんも、もうかっこいいしかでてこないし、普段これでもかときつい言い合いしながら、妹のパーティ前とかにはさらっとgood luck って言ってたり送迎してくれたり、お兄ちゃんとの距離感もすごく好き。彼女の理想の家や初体験は手に入れられなかったとしてももうすでにこんなにも愛あふれたものをもっているってこと、彼女がNYに行って暮らし始めてきっとたぶん初めて気づくことなんだろうな。

この頃のティーンズ特有の強い自我と簡単に流されてしまうまだ残る意思の弱さが入り乱れる感じ。すごく好き。嘘もつくし、本当に大事な友人も、自分が手にしてない新しいものへの単純なキラキラした好奇心で簡単に見失いそうになるけど、かっこつけてる自分のだささに気づいて親友のもとにかけつけるところとか、正直に言ってショックな思い出と思っていた元彼の素直な告白に抱きしめる優しさとか、ぶれっぶれの彼女でもちゃんとこういう部分をもってるんだって見え隠れする感じがたまらなく好きだった。自分の意思ぶれぶれなのは本人が一番わかっているけど、ドキドキする経験も捨てられないから、すごく欲張りな自分を自分で憎めないって思ってるのがわかる、強烈に可愛い。傷付けまくって恥ずかしい道もダサい道もたくさん通って学んでいて10年後のレディバードはきっとすごくいい女なんだろうなってわくわくできる。

『同じことだと思わない?愛情と注意を払うのは。』っていうあの言葉はもうこの映画の全てだし、まんまレディーバードのお母さんなんだよね。
いつしか全てが恥ずかしくださかったと思う日がきて、さらに時が経つとその恥ずかしさもだささも愛しかったなあと思える日がくるのがわかる。レディバードだった時間を彼女は一生忘れない、忘れられない。
空気感がすごく20センチュリーウーマンっぽいと思った。レディバードはまさに21世紀の女の子。この遠すぎないノスタルジック感、匂いとか色とかが自然と連想されて引き込まれる映画ってあるよね、すごくそういう力の強い映画。何年経っても見たいと思う。母親にすごく会いたくなる映画。
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