マヒロ

パーティで女の子に話しかけるにはのマヒロのレビュー・感想・評価

3.5
ぼんくらパンク少年がある日偶然遠い星から来た宇宙人の女の子と出会い、若き日の酸いも甘いもを体験することになるという青春映画…なのかと思っていたら、それ以上にゴリゴリのSF映画でたまげてしまった。

舞台が70年代のイギリス(=パンク最盛期)というのもあってなのか、SF要素もわざとレトロにしている節がある。宇宙人といっても皆変な格好をしている人間に過ぎないし、やってることといえば集団で変な踊りを踊ったりファーストフード店で駄弁ったりしているだけのこぢんまり具合。目に優しく無い原色ペカペカの色遣いなんかもまさにレトロSF映画的で、最近の大スペクタクルコズミックアドベンチャーみたいな映画群に慣れつつあった脳みそには丁度いいユルさ加減だった。

このスケール感、何となく星新一なんかのSF短編小説を読んだあとのような鑑賞後感があって、その中でも一番思い出したのが、そんな小説に影響を受けたであろう『レベルE』(これは漫画だけど)だった。
というのも、ここで登場する宇宙人とよく似た性質をもつ宇宙人が『レベルE』にも登場するからで、なんとも言えないあの漫画の雰囲気を外国映画で感じることが出来るとは思ってもおらず、それだけでなんとなく嬉しかった。
宇宙人達がその生態を垣間見せるシーンはかなり不気味に撮られていてなかなか良かったので、いっそのこともっと舵を切って、宇宙人の生態を禍々しいものとして描くSFホラー的なところまでいってくれたら最高の映画なんだけどなぁ、とか思ってしまったんだけど、それだと映画の本質からブレるような気もするので致し方なしか。
でも、そんな観客を裏切るような大胆な路線変更をする映画、一度でいいから見てみたい…。

(2017.156)[40]
マヒロ

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