たにたに

メッセージのたにたにのレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
4.1
【サピア=ウォーフ仮説】2022年132本目

突如現れた異星人とコミュニケーションを図ろうと奮闘する言語学者の女性。
何故彼らは地球に来たのか。
その目的を探る中で、彼女はあるメッセージに行き着く。
我々の想像を超える"言語"の可能性に触れ、未来を思慮するチャレンジグな物語となっている。

今作のキーワードは、
サピア=ウォーフ仮説。
異なる言語を使用すると、世界観や概念の認識に変化がある。という仮説。

日本語と英語では文法も違うし、日本語の曖昧さがまた奥ゆかしさや感情を含むというのはなんとなく感じますよね。

季語の存在や、主語のない俳句は詠む人にも読む人にも想像力が求められています。
そう考えると日本語を習得しているかそうでないかで物事への認識は変化するかもしれません。

ただ、そのような感情を、異なる言語ではまた違う視点から獲得できているかもしれませんので、一概に正しいと言えなそうです。


今作では、タコのような異星人が、墨を吐き出しサークル状の独自の言語を利用します。彼らは3000年後に訪れる地球人の危機を救うべくはるばるやってきて、武器を渡しにきたと告げます。
その武器が"言語"ということでした。
そしてその言語を獲得することで、未来を認識することができる。

主人公の女性は異星人の言語を理解していくたびに、自分の未来を見ます。

言語というのは、人間の持つ奇跡的な能力の一つだと思いますので、そこに着眼点を置き、異なる言語を介した"話し合い"というものがいかに難しく、それにより異なる国同士の歪み合いに触れるドゥニヴィルヌーヴ監督の視点は本当に好感が持てます。

言語に含まれるメッセージ。
知らない言語や単語に触れることで、新しい視点を得る。
言語の成せる可能性を我々に教示してくれる。
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