わたがし

ボクソール★ライドショー 恐怖の廃校脱出!のわたがしのレビュー・感想・評価

5.0
 POVと4DXという聞くだけで面白い組み合わせに観る前から超楽しかったし、観ている間も超楽しかったし、基本的に人生というものはいつだって超楽しいし、そう思わないと人生なんかやってられないし死ぬ。
 4DXは過去に進撃の巨人の前編とマッドマックスで計2回体験したことがあって、その二本で思ったことは4DXは「映画の世界そのもののリアリティ」を高めるものと言うよりかは「映画の世界外の世界(カメラのレンズの前側ではなく後ろ側の世界)のリアリティ」を高めるツールだなあ、と思っていた。そして今回、POVもミックスされて本当の本当にまたそれをひしひしと実感した。
 座席は監督の持つカメラの揺れやズームに合わせて動くので、観客は「被写体の女の子たちの味わう恐怖を追体験する」ことよりも「監督の目線で現場を見つめる」ことを強いられる。そういう視点誘導こそが(自分が二回体験した限りでは恐らく)4DXの得意技であってPOVの得意技でもある。4DXの謳う「体験」は主人公の「体験」ではなく監督の「体験」なのだ。
 なので監督志望の人(自分もなんだけど)なんかは本当の本当に楽しい25分間で、ただヘラヘラしながら座席に座っているだけでかわいい女の子たち主演に映画が撮れるし、願ってもない最高の被写体がどんどんフレームに映り込んでくるし、最終的には誰も到達し得ない未知の領域の撮影に成功したというとんでもない快感を得ることができる。こんなにも幸せで謎の達成感のある映画の後味もなかなか珍しい。
 そして本編以上に楽しすぎるのがオープニングクレジットとエンドクレジットで、むちゃくちゃ露骨で下品なぐらい4DXの特殊効果を乱用していて本当に興奮する。普通の劇映画だとあまり使うタイミングのないフラッシュなどをこれでもか!これでもか!と使いながら馬鹿みたいに水がぶしゃぶしゃ出てきて物凄い映画体験だった。まだまだ技術として改善点もたくさんあるけれど、本当に4DXが大好き。いつか必ず4DX映画を撮りたいし何なら今すぐにでも撮りたすぎて死ぬ。
わたがし

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