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小麦の買占めのryosukeのレビュー・感想・評価

小麦の買占め(1909年製作の映画)
3.8
ストローブ=ユイレ「四部の提案」の中で用いられていた作品。
固定カメラ、ワンシーンワンカットの初期映画。映画的な構図はこの時からばっちり固まっていることに感心する。
クロスカッティングも用いられ、パン屋に行列する貧民と富裕層のパーティ、怒る貧民たちと小麦に埋もれて死んでいく資本家の対比を効果的に見せる。エイゼンシュテインのモンタージュが本作の影響を受けているというのもよく分かる。(主題的にも)
大勢の人がわちゃわちゃと動く様子も見ていて楽しい。初期映画を見ていると、写真が動くこと自体が驚きであり、喜びであった時代に思いを馳せてしまう。

四部の提案 3.6
グリフィスの短編と自作の抜粋を組み合わせた作品。
テーマ的には苦しむ平民→信仰→抑圧される人々→失われる信仰、不公正の告発というような構成になっている。
三部でいつものように360度ぐるりと回転するパンを見ていると、空間をある一面から切り取るのではなく、空間を丸ごと捉えようとしているのだなあとふと感じた。
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