のん

リメンバー・ミーののんのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.4
アナ雪は必要ですか?


ピクサー作品のテーマには共通項があって「変わりゆく時代や環境の中で自分の居場所を見つけていく」というのが作り手の精神部分に通底しているのではないかと思う。


ピクサー屈指の傑作「インサイド・ヘッド」に続くオリジナル長篇はそうした精神性をまさに前面に出た映画だろう。



ピクサー作品にしては随分捻りが少ないなと思っていると見事に騙される後半の大転換する展開といい、相変わらずストーリーの力が強すぎる。細かい部分まで徹底的にこだわり抜かれ痒いところに手が届く絶妙な塩梅。

マッキントッシュを「悪魔の箱」と罵る子供には絶対わからないマニアックな小ネタを挟むなど余裕もみせる。


「あれ、これ千と千尋じゃね?」と思うシーンがあるなど、宮崎アニメの影響もかなり多分に受けながら、王道をいく風格は凄い。


歴代ピクサー作品と比べると色彩設計が群を抜いて美しいのが、最も特徴的な部分で、「死者の国」という言葉のギャップが凄まじい。



邦題にもなっている「リメンバーミー」が流れるクライマックスではあちこちで啜り哭く声が。私も花粉症とのダブルパンチでずびずび泣きました。



これほど素晴らしい傑作の前に見せられるアナ雪の短編が22分もあり、もうこれは短編と呼べるかさえ疑問なのだが、分離したほうがお客さん入るんじゃないかと思った。
のん

のん