河豚川ポンズ

リメンバー・ミーの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.5
要は逆お盆参りしちゃう映画。
最近の3DCGアニメでの異様なハードルの上がり様で少し不安だったけど、いざ観てみたら「え?めっちゃ面白くない?」と完全に持ってかれた。

1年に1度あの世から死者たちが現世に帰ってくると言われるメキシコの祝祭「死者の日」。
サンタ・セシリアの街で音楽を愛し、エルネスト・デラクルス(ベンジャミン・ブラット)のような歌手になることを夢見るミゲル(アンソニー・ゴンザレス)もその祭りのために、一家総出で死者を出迎える準備をしていた。
しかしそんな一家には音楽禁止の固い掟があり、ミゲルは自分の夢を秘密にしていた。
それでも諦めないミゲルはある日ひょんなことから自分の父親がそのデラクレスだと気づく。
嬉しさのあまり飛び出して家族に夢だったこともすべて話すが、受けいられることもなくギターを没収され壊されてしまう。
ショックで家出をしたミゲルはそれでもコンテストに出るためにデラクレスの墓まで向かう。
デラクレスの墓には彼が使っていたギターがあり、それを少しの間拝借してしまおうというミゲルだったが、そのギターを手にして引いた途端、彼の体は霊体化してしまったのだった。

ここ最近の流れとして「アナと雪の女王」とか「ズートピア」とか「SING」とかみたいな、子供向けのCGアニメ映画だと思って観たら想像以上にいい話だったってのが多いんだけど、この映画でもその例に漏れずやってきた。
しかもそれまでのそういった映画に負けないようなストーリーを展開してきて、自分みたいな「ハイハイ、どうせまたそういう話なんでしょ」みたいな輩の心を揺さぶってくる。
しっかりと面白さやストーリーテリングを作品を追うごとにどんどんパワーアップさせてくるのは、やっぱり腐ってもディズニーのなせる業だなあと思わされた。
特に「死者は忘れられたらそれでお終い」という設定が良い。
こればっかりは自分の好みだけど、それを目に見える形で話のギミックとして盛り込んでて良かった。

そんな感じの話なのに、舞台がメキシコなのもあって雰囲気も流れる曲も終始明るくて楽しい。
メキシコを舞台にしたミュージカル映画ってのもなかなか無いし、そういった意味で音楽は新鮮に聞こえる。
死者の日ってワードで「007 スペクター」の冒頭シーンぐらいしか思い浮かばなかった人間にとっては、話を重くして余計に暗い雰囲気になるくらいなら、これくらい能天気に明るいほうが観てるほうも楽しいってもんで。

まあでも売り文句の「家族に会いたくなる」ってのは本当にそうなるか?ってちょっと疑問だった。
文句なしに面白い映画なのは自分も変わらないのだけれどもね。