八木

キングコング:髑髏島の巨神の八木のレビュー・感想・評価

2.0
わりと派手に良くなかったと思います。よくなかった、つーか大味だった。キングコングの過去作を一切見ていないので、今回がどういう立ち位置の作品なんかよくわからんですが、コングが簡単に人格持ってしまっているので、上映中あんまり切羽詰まった感じがしなかったのが問題だと感じました。コングの目を印象的に映すシーンがたくさんあるので、「優しい人とは通じ合ってしまう」という部分を強調されすぎたのではないかなあ。コングは見た目完全にゴリラだし、敵キャラは全く人格を見いだせないようなルックスや行動をしているので、可愛いげのあるものが世界を制するという、ある意味無慈悲なこの世の構造を見た気がしました。まあ別に、それ自体否定するつもりはないんですけど。
問題はそれだけでなくて、主役級のキャラがことごとく、ストーリーの骨に関与してない。あんまり必要がない。特に、大金出して雇った傭兵が役に立ったシーンは皆無だし、生き残る理由もあんまりない。地質学者役の中国人俳優、中国資本入ったからゴリ押しされたのかもしれんが、セリフない、役割ない、カメラ映り多い、で登場するたびに違和感があった。助手の黒人との恋愛パート、ちゃんと時間経過で前進させてるけどこれも本編と何の関係もない。本当、誰も得しないキャストじゃないかと思う。「誕生日、会えなくてゴメンよ」と息子に手紙を書く父親兵士とか登場するのですが、当然死にますし(もうネタバレちゃうでしょこれは)、手紙を見た同僚の兵士が「お前の父は勇敢だったよ」と言ったことに対して、『全然そんな感じちゃうかったしお前当事者ちゃうし馬鹿か』と誰もが思ったと思います。エンドロールで、ある主要キャラの後日談をさも感動風に見せたりするのも、ちょうど誰も気になってない部分だったりして、この映画の全体像を客観的に見られてないような気がしました。
この映画は「少ない武器でバケモノと対決する人類」であったり、「本当の敵はどこにいるのか」と矛先をくるくると変えていく部分に楽しみを持っていこうとしているはずなのに、途中で「ベトナム戦争で狂った兵士=大佐をどうにかする話」のウェイトが増えてきて、大佐の話が完結してしまってからはお話しが途切れたようになってしまってると思った。最後の対決時のコングなんか本当緊張感なかったですもん。味方感・頼れるアニキ感丸出しで、話の出来ねえ狂ったモンスターじゃなかった。
ここはひとつ簡単に、カメラマンの女とだけは心的交流を持つことのできる、モンスターパニックとハートウォーミングの2本柱の話くらいでよかったのではないでしょうか。あ、敵キャラの、2本足と尻尾でバランスを取るというモンスターの造形は良かったと思いました。もちろん、大佐役のサミュエルLジャクソンは良い顔してましたしね。
「世界いろいろモンスター」シリーズで続編作る気満々のオマケ映像ありましたけど、さすがにこのパッケージでは誰も求めていないのではないでしょうか。
八木

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