翔海

ガタカの翔海のレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
4.3
恵まれた者だけ許された宇宙飛行士への道。

これは近未来の世界の話。
人類は遺伝子操作と人工受精によって優れた知能、体力、外見を持った適合者と自然妊娠で生まれた不適合者に分けられていた。ヴィセントは自然な生き方を望んだ両親の元に不適合者として産まれてきたが、生まれつき虚弱体質というハンデを背負っていた。不憫に思った両親は弟アントンは適合者として誕生させる。子供の頃から兄弟で格差はあったが、それでも適合者の弟を見返したい兄ヴィセントは度胸試しとして遠泳勝負をして、最後の一回だけ勝つことができた。そんなヴィセントの夢は宇宙飛行士になること。宇宙飛行士は適合者にのみ許された仕事でヴィセントの夢は途絶えたと思われた。しかし、彼は夢を諦めきれず、最後の望みに賭けてDNAブローカーの仲介で適合者のジェロームを紹介される。ジェロームは元水泳選手で事故で足の自由を奪われてしまっていた。ジェロームから血液や指紋を提供してもらい、ヴィセントは夢だった宇宙開発機関ガタカの局員になる。順調に成果をあげていたヴィセントはついに念願のタイタン探査船の宇宙飛行士に選ばれる。探査船の出発が間近に控えたある日、ヴィセントの上司が何者かによって殺される事件が起きる。事件現場に不適合者のヴィセントのまつ毛が発見されて、事態は一変する。夢を目前に疑われるヴィセントは執念で捜査官をも欺く。ヴィセントは不適合者の壁を超えて宇宙へたどり着けるのだろうか。

近未来的SF映画。
1997年に公開されていたことを鑑賞後に知って驚かされた。ここまで手の込んだSF映画が私の生まれた年に公開されていたんだと。
未知の宇宙への想像から細かい設定まで世界観に引き込まれる作品であった。優れた適合者のみに許された宇宙飛行士、不適合者だけど宇宙飛行士への夢を諦めなかったヴィセント。運命に抗い、どんな手を使っても叶えたいと思う執念は奇跡を起こす。

代表作トゥルーマン・ショーで監督を勤めたアンドリューニコル監督作品。タイトルのガタカは英語表記だとGATTACAであるが、その由来はDNAの基礎塩基であるG(グアニン)、A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)の頭文字であることをウィキペディアから知った。遺伝子に優劣がある世界でDNAの壁をも越えようとするイーサン・ホークの姿と名前の由来が重なりあって、自分としては素敵だなって感じた。この作品の主人公をイーサン・ホークが演じたが、彼の表情だけでも十分に感情が伝わると思えた。イーサン・ホークにそこまで関心はなかったのですが、私の好きな作品に彼が出ていることが多いことも改めて気づくことができた。いまを生きるやビフォアサンライズ。それぞれ違う役柄だけど、彼の演技に魅了されていた。その中でもこの作品のイーサン・ホークが私の中では一番良かったかもしれない。
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