こうん

ミッション:インポッシブル/フォールアウトのこうんのレビュー・感想・評価

4.5
ジャッキーの「アクシデンタル・スパイ」観た時に「ジャッキー死んでまう!(スタント頑張りすぎで)」と涙したことがあったけど、それと同じことがこの「フォールアウト」でも起こった。

たしかジャッキーの「ラッシュアワー2」の頃のドキュメンタリーで、ハリウッドでも成功したジャッキーの功績を称えるパーティーかなんかのシークエンスがあってミシェル・キングとかも出てくるんだけど、特別ゲストでトム・クルーズがやってくるんだ。そのトムの前でジャッキーが自分のスタント映像を見せて自慢するんだけど、その時のトムの顔ね!
いつもの満面のスマイルなんだけど、めっちゃ悔しそうなんだ!
「フー・アム・アイ?」でジャッキーが「ミッション・インポッシブル」をパクってることもあるのかもしれないけど、あの時のトムの絶妙な表情が、オレの中では昨今のトムの狂ったようなスタント挑戦に繋がってるんだ。

エンターテイナーとしての負けん気や向上心(というか単なるエスカレート)がジャッキーからトムに伝播した瞬間だと思っている。

「フォールアウト」におけるトムの身体を張ったアクションは彼のエンターテイナーとしたの矜持であり、アドレナリンジャンキーの発露であり、キートンやロイドからのアクション映画史を引き継ぐ行為でもあるのだ。

それに加えて、本気のアクションの強度によって、〝世界を救う〟(しかも少人数で)という現実離れした物語を信じさせてくれる、ということにもなっていると思う。

正直、スパイ物としての物語展開はすっとこどっこいだと思うけど、アクションそのものとアクションの連べ打ちの中で語られるキャラクターの感情によって、なんかものすごい熱量を生み出している。
その熱量にクラクラしちゃって涙が出てきました。
それに久しぶりにリアルに手に汗握ったよ。

トムさん、ありがとう。あんたスターだよ。駅から家までトム走りで帰ったよ。
それにこれをまとめ上げたマッカリーさん、凄すぎでしょ。
パリのチェイスは出色の出来。

なんだろう…頑張って作っているという映画の外側と、頑張って世界を救うという映画の内側が一体化したような、映画のマンパワーにねじ伏せられたような作品でした。
人間バンザイ!
と思いましたよ。

あとオレは、イーサン・ハントが嫁を助ける為に七転八倒する「MI3」が結構大好きです。今は亡きホフマンの〝中の人がトム〟状態の演技が素晴らしいですしね。

ともかく、デパルマの第1作から観続けている者としては、全部入りのボリュームだった。ルーサーの友情というか、死線を乗り越えてきた友への理解に泣けた。
こんな諜報員いるわけないのに、彼らの生きる苦悩に感興しちゃう。

ハト飛ばしてジョン・ウーへの敬意も忘れないぜ!
こうん

こうん