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名探偵コナン 純黒の悪夢のbackpackerのレビュー・感想・評価

名探偵コナン 純黒の悪夢(2016年製作の映画)
3.0
◾︎劇場版名探偵コナン第20作

【作品情報】
公開日   :2016年4月16日
作品時間  :112分
監督    :静野孔文
製作会社  :小学館、読売テレビ、日本テレビ、ShoPro、東宝、トムス・エンタテインメント
アニメ制作 :トムス・エンタテインメント
脚本    :櫻井武晴
原作    :青山剛昌
音楽    :大野克夫
撮影    :野村隆
配給    :東宝
主題歌   :『世界はあなたの色になる』(B'z)
出演(声) :高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、山口勝平、茶風林、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江、林原めぐみ、松井菜桜子、大谷育江、天海祐希、池田秀一、古谷徹、他

【作品概要】
2010年代後半の名探偵コナン作品で人気の牽引役となっている、公安警察の安室透が劇場版初登場。同人気牽引役の片割れであるFBIの赤井秀一との初共演となった。
アクション偏重の傾向はより一層顕著となったため、大がかりなアクションに対し内容や展開は存外小さくまとまっている。また、ミステリー要素は非常に少ないため、その方向性の作品が見たい場合は注意が必要である。

【作品感想】
名探偵コナンという作品は、長らく劇場版しか鑑賞せず、原作は50巻程度までしか読んでいない身のため、公安警察がいつから絡むようになったのか全く把握していません。数年前安室さんを認識した際も、「このキャラ誰?」と困惑したものです。
そんな安室さんが劇場版に初登場したのが本作。その人間離れした身体能力は、冒頭からフルスロットル。同じく人並外れた身体能力の黒ずくめの組織メンバーとの格闘戦と、劇場版でも随一のカーチェイスで魅せてくれます。
何より、「足場の悪い観覧車上での徒手格闘戦」は、本作を語るうえで外せないユニークなポイントですね。まったくとんでもないもん見せてくれますね。びっくり人間万国博覧会ですよ。

残念ながら、話そのものは広がりに欠け、黒ずくめの組織を絡めた劇場版を作ることの難しさを感じさせます。特に、劇場版に登場する黒ずくめの組織側の新キャラは、現状作中で死ぬ宿命を背負っている=殺さないといけないというのも、作品の展開に対する制約となっていますね。これは、おそらく原作との連携を考えると発生する枷だと思いますが、2023年の新作でまた黒ずくめの組織が関わってくるようなので、展開の打破に挑んでくれることを期待します。

カーチェイスや肉弾戦のみならず、オスプレイによる機関銃掃射といったド派手なアクションシーンもありますので、コナンのアクションが好きな方には楽しい作品であると思います。
一方、武装組織による攻撃や爆弾テロが頻繁に起きる地獄のような世界観は益々深化し、その荒唐無稽ぶりも拍車がかかる一方です。
こんな情勢にある都市に住もうものなら、命がいくつあっても足りません。戒厳令でも出したほうがいいんじゃないかなぁ……。
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