ケイスケ

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場のケイスケのレビュー・感想・評価

3.5
ドローンとか遠隔ミサイルなどの近代戦争を扱っているけど、これ多分コメディだと思う。要はナイロビの隠れ家に潜んでいるアル・シャバブのテロリスト達を爆撃したいわけですが、あの手この手で邪魔が入ってなかなか撃てない。この一連の流れがどう見てもギャグなんですよ。不謹慎に聞こえたらすみません。

ヘレン・ミレン演じるパウエル大佐は、見つけた民家がテロリストのアジトであることに確信を持つ。アーロン・ポール演じるワッツにミサイルの発射準備を命じますが、市街地のど真ん中のためお偉いさんの許可が必要になります。そこで外務大臣に連絡するも、あいにく海老に当たりトイレで下痢便なうな状態。

ウンコ大臣は仕方ないんで次にパウエルは国務長官に連絡します。しかし国務長官は中国の友好イベントで卓球を楽しんでいる最中。「私は忙しいんだ。大臣につなげたまえ」と怒りますが、例の如く彼は下痢してます。この辺のたらい回しがもう楽しい。

次に予告でもありましたが、ターゲットの近くに女の子がパンを売りに現れます。困ったパウエルは、現地工作員へパンの買い占め作戦を命じます。女の子は「マジで!やったー!」と喜びますが、近くの兵士に工作員が怪しまれ作戦は失敗。工作員は撤退し、女の子はパン売りを再開します。「次はどの工作員にパンを買わせに行かせますか?」と問う部下に「パンはもういい!」と切れるパウエル。

あと面白いのは、バケツ売りに扮した工作員がスマホの遠隔操作で昆虫型ドローンをアジトに忍び込ませる場面。しかし近くの子供に「ボクにもスマホゲームやらせて」と聞かれます。当然「ゲームじゃない、ダメだ」と断りますが子供は引きません。仕方なく工作員は「じゃあこのバケツを全部売ってきたら貸してやる」と時間稼ぎをします。しかしこの子が割と早くバケツを売ってきて「約束通り貸してよ。あくしろよ」と戻ってくるんですよ。商才ありすぎだろ!

もちろん全編通して近代戦争に対してのメッセージ性や、極限状況の葛藤描写などはあるんですけど、起こる事態があまりに強引で笑ってしまうんですよ…。なんか『アルゴ』のラストを思い出した。あれもバレるかどうかのサスペンスが足し算的に追加されていました。本作もアルゴも面白いですけどね。