マンボー

KUBO/クボ 二本の弦の秘密のマンボーのレビュー・感想・評価

KUBO/クボ 二本の弦の秘密(2016年製作の映画)
3.6
多分、室町時代の中期から後期頃が舞台なんだろうか。まぁ、歴史や時代考証などは、信じられないほど、一切踏まえられていない(笑)

ただビジュアルはよくできている。人形劇のストップモーションアニメとしては出色で完璧。

鳥居、祭り、侍、砦、三味線、折り紙、精霊流し、様々な時代劇を観て、日本独特の風物を取り込んで、意味も理由も度外視でめちゃくちゃに吐き出した感じだが、デザインセンスは抜群で、ストーリーにも工夫があり、考証はどうしようもないのに、力作で馬鹿にできない。

大体、主人公の名前が久保で、名字が名前になっている不思議。風景も、日本というより、ふと韓国や西域辺りやシルクロード等、大陸調の美術に見える不思議。主人公を追うオバさま二人は、死神と魔女が混ざった造形で西洋調に見える不思議。月の帝に立ち向かうために、伝説の武具を探すだなんて、もはやゲームで、どういうわけか当てどもないのに都合よく探し当てる不思議。

要は日本をちゃんと知っているアドバイザーを必要とせずに、突っ走ったのだろう。本当にどうしようもないけど、熱意はすごくて敬意すら感じる。

まぁ、むちゃくちゃだが、江戸の浮世絵だとかもよく研究しているとみえて、時代錯誤でもいちいちビジュアルがよくて微笑ましい。このビジュアルへのこだわりを少しだけ民俗学にも向けてくれれば言うことなしだった。

最近の日本の作り手にも、これぐらいの研究心を持って自国の歴史を取り込んだストーリーを作り、海外の中途半端な日本好きクリエイターをギャフンと言わせるようなオリジナル作品を作ってほしいものだと、勝手に黒澤さんや手塚さん、水木さん、諸星さんらを思い出しながら、思ってしまった。