シネマノ

シング・ストリート 未来へのうたのシネマノのレビュー・感想・評価

4.5
恥ずかしながらジョン・カーニー監督初鑑賞

カーニー監督の半自伝的作品とのことだが、清々しい程の傑作。

舞台のアイルランドは当時不況で音楽の持つ力が今より根強かった時代。バンドやロックは若者の救いであったこと、クールの象徴であったことから主人公コナーの青春が動き出す。

恋から始まり夢が生まれるというありふれた設定だが、
音楽狂いの兄や、個人的に大好きなエイモンなどキャラクターが良くたっている。
そしてファッション個性爆発の魅惑のヒロイン、ラフィーナやが映画を華やかに彩り、
それらの関係が主人公コナーを多様に成長させていく。
本作でオーディションを勝ち残り主役を演じたピーロ君はあどけないながらも端正な顔立ちと観客の心に届く歌声を併せ持ち、成長し外見的にも人間的にも変化していく様をとても良く表現している。

脚本も兄やラフィーナとの会話が時にユーモラスに時にセンチに、
観客の心を浄化するような良いセリフが散りばめられ引き込まれる。
シング ストリートのオリジナルソングも若さを表現しつつ良曲ばかりでサントラが欲しくなること間違いなし。
演出や美術も当時を研究し尽くし、トリップ感満載。

80s感を全面に押し出しつつも、
ラストのアダム・レヴィーンの曲が歌詞と映画のシンクロで不覚にもグッとくる。

総じて青春映画として素晴らしい出来で、間違いなく今年の傑作の中の一本。

音楽はもちろん、コナーの歌声と個人的にラフィーナ役のボーイントンの綺麗な声にノックアウトされあらゆる音を楽しめる1作
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