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シング・ストリート 未来へのうたのトルーパーcomのレビュー・感想・評価

3.0
ルーシー・ボイントン出演作を2日続けて観賞。
映画全体からあふれる80年代感がたまらない青春音楽映画。

本作の舞台は1985年のアイルランド、ダブリン。
当時のアイルランドは経済的に大不況。不況のあおりと両親の不仲で家庭が崩壊しつつある中、一目惚れしたラフィーナを口説くため主人公のコナーは友人とバンドを結成するが...

【1】1980年代という時代
ファッションの流行はめぐる。
2000年を過ぎたあたりからレトロでモダンな60年代、サイケでヒッピー風な70年代のファッションなど、ファッションの特徴的な流行は繰り返しブームになってきた。

そして1980年代。
80年代といえば本作にも登場するデュラン・デュランにA-ha、他にはボンジョビやマイケルジャクソンらが流行した時代。
日本でいうならBOOWYやプリンセスプリンセス、安全地帯あたり?
バブルやトレンディドラマのイメージか。
濃いめのメイクにパステルカラーや原色の洋服は、その前20年と比較しても負けず劣らず特徴的。

けれど、ダサい?と感じられているのか、時代的にまだ新しい(中途半端に古い)と感じられていたためか、「60年代」「70年代」のように大々的に再流行したことは少ないような気がするし、
映画の世界でも80年代が懐かしさの対象として描かれた作品は少ない。

そこでこの『シングストリート』だ。
80年代を中高生として過ごした世代の人には懐かしさをもって映り、
80年代は親世代の時代という人にとってはどこか不思議な世界観に映るのかも。

コナーのバンド、シングストリートが作るMVの世界観は愛すべき80年代テイストで輝いている。


【2】キャスト
キャストはほぼ全員無名の若手俳優だが魅力的。

■ルーシー・ボイントン
2018年末の大ヒット作『ボヘミアン・ラプソディ』でメアリー・オースティンを演じた彼女。
今作ではコナーが一目惚れするちょっと年上のモデル志望の女の子、ラフィーナを好演している。

小泉今日子とか渡辺美里あたりの若いころみたいなファッション/メイクでコナーたちのMVに出演する彼女が魅力的。
彼女も子供といえば子供なんだけど、コナーから見るとちょっと手が届かないようにも思える女の子。
「ああー、高校生くらいの頃ってこういう女の子に声かけるのって度胸いるよなあ」っていう絶妙な感じがよい。

■フェルディア・ウォルシュ・ピーロ
主人公コナーを演じた当時16歳の彼の演技が作品の魅力を支えている。
高校生特有の不器用で甘酸っぱい感じがすばらしい。
美形なんだけど、どこかダサくてへなちょこな感じが愛らしい。

■その他
コナーの兄貴や校長先生、バンドメンバーやいじめっ子など脇を固めるキャストもそれぞれに魅力的。

ロックとは何かって語る兄貴カッコいい。
コナーたちのギグのラストの曲こそロック。等身大のロックっていいなあああ!ってテンション上がる。

ちなみにコナーたちの父親を演じたエイダン・ギレンっていう俳優さんは、ボヘミアンラプソディでQueenの最初のマネジャーになるジョン・リード役の人です(フレディのソロデビューの件で車から降ろされてクビになる人)。

【スコア】
★3.0
甘酸っぱくも爽やかな青春映画です。とにかく主演の2人が魅力的。

世代的な問題と個人的好みで80年代っていう時代感に対してさほど思い入れがないのでこのスコアにしましたが、
80年代に懐かしさを感じる世代の人や、現在進行形で高校生~20歳くらいの観客にはかなり響くと思います。
人によっては4.5くらいつけるんじゃないかな??良作。
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