あの“夢二”を描くので、内容はどうであれ他の作品よりは衣装・ヘアー・装飾ともに美しい。
特にたまきの髪の結い方。とても綺麗で印象的。
夢二ものとしては、やはり鈴木清順の「夢二」だなと再確認させられたものの、夢二の半生が分かりやすいのはこちらかな。
まあほぼ恋愛のことしか描かれないが…
たまき→彦乃へとモデルが移り変わるころのストーリーで、たまきがめちゃくちゃ怖い。
でも、その分たまきの大変さが伝わる。
黒谷友香の演技力には特筆すべきで、
彼女のたまきがこの作品の見どころ!
迫真オブ迫真。
哀愁を超えた情念のようなおそろしさ。
自分も女と寝てるのに、たまきの浮気に鬼ぶち切れたり、それでも(いくら少し無責任とはいえ)たまきが悪いふうに話は進んでいき、そこは少し納得が行かなかった。
妻や恋人のガチ泣きを描きだす無神経さは、ピカソといい画家の定番なのかな…
中盤はピンク映画ばりのシーンばっかりで退屈。
無駄にいい感じでいやらしい。
ドキュメンタリーではないので、いきなりの絵の紹介カットはいらない。
でも見れたら見れたで嬉しい。
この作品の良いところは、出来事とともに夢二の詩をたくさん知ることができる点。元々詩人を目指していただけあり、情緒や趣、哀愁があった。
衣装のお着物はもっと大正モダン全開の方が好み。
暴れる夢二シーンの照明の素晴らしさにも注目!