Ricola

不滅の女のRicolaのレビュー・感想・評価

不滅の女(1963年製作の映画)
3.6
現実なのか夢の世界なのか…。
ぐるぐると回って広がる果てしない迷路に放り込まれたまま、最後まで抜け出せずに観終わってしまった。


記憶の中の彼女を断片的に切り取って、それらが走馬灯のように頭の中を駆け巡るような、曖昧さを持っている。
それぞれの記憶での彼女は髪型もファッションも全く異なる。
まさにイメージとしての彼女は、その舞台によって七変化する掴みどころがないということなのだろう。

まるで絵巻物のように、横にカメラが動いていくショットでそのまま時間の経過も表す。
人物も動く中でその都度現れるので、現実の時間の流れは無視しているようである。

虫の鳴き声、犬の吠える声、女の笑い声が異様に大きく聞こえる。
強弱はあれど、その異様な音のボリュームがまた、この作品のミステリアスな雰囲気と一種の不気味さを表しているのだろう。

ギャラリーを停止させ、対象物や人だけが動かされるシーンも印象的。
異次元に放り込まれたかのようで、言葉で示さなくてもこの場面での状況や人物の心情も浮き彫りになる。

ストーリーの意味などを追うのはもはや途中で諦めてしまったが、モノクロで際立つ影と光のコントラストの美しい映像や、この不思議な世界に振り回されること自体が楽しかった。
Ricola

Ricola