abee

スイス・アーミー・マンのabeeのネタバレレビュー・内容・結末

スイス・アーミー・マン(2016年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

私は何でこの作品を観たいと思っていたのでしょうか?

完全にダメなやつでした…

あのですね、観てる最中の感覚的には「シェイプ・オブ・ウォーター」と同じだったんです。
人間×半魚人。
今回は人間×死体です。喋ってるけど、死体です。

レビューだけ見てると爆笑コメディだと思っていたのですが、これほどまでに歪んだ発想って久々に見ました。それとも、歪んでると捉えてしまう私の心が狭いのか…
めちゃめちゃ怖かったですよ、この映画。

確かに、ぶーぶーおならを吹きながら海を渡るその様は笑うしかないですよ。ハリー・ポッターが半ケツで海を泳いでるんですから。
可笑しいに決まってます。
時にはそのケツからはバーナーのように火を吹き、口からは水が滝のように流れ出し、その手刀は斧と化す。

ダニエル・ラドクリフが終始「死体」に徹してくれていたら普通のコメディとして笑って見れていたかも知れませんが、喋り出してから風向きがおかしくなってきました。

物語が進むにつれ、どこかチラつくBLを思わせる雰囲気。しかもまぁまぁハードな設定ですよ。これはこういうジャンルにある程度耐性が無いと結構キツかったです。
しかもまぁまぁ歪んでると私は思う…。

結末もなんだか怖いんですよね。
この主人公パッと見キレイに見えるように描かれてましたけど、この死体に対する執着はヤバいと思う。

ある程度の段階からどぎつい下ネタもオナラも何もかもどうでも良くなるくらい主人公と死体の関係が恐怖でしかなくなるんですよ。
それは冒頭では死体を「物」としてしか捉えていないから。
ところが「物」が「言語」を有した時点でそれには魂が宿ってしまう。魂の宿った「物」を安易に笑うことはできなくなるよね。
逆にこれをずっと笑って見れた人は死体を終始、主人公のサバイバルを助ける「物」として見れたのかも知れない。
もちろん、主人公の極限状態は物語の中できっちり描かれているし、だからこそ生まれてしまった友情だったり愛だったりするのですが、それを享受できるほど私の器はデカくありませんでした。
私の彼らを見る目は、その珍道中を画面を通して目にしていても、サラのそれと同じですよ。

ということで、シュールなコメディ作品でジャンルとしては間違ってないでしょうが、もう少し覚悟が必要でした。
それだけじゃなくて脚本を細かく作りこんでる割に色々とツッコミどころも多いんですよ。
バッテリー10%になってからのスマホの持ちが以上に良いしね。電波入ってそれまで受信してなかったメールを受信した瞬間に電源落ちるって絶対ww
あの細い橋を渡るのも、落ちた後わざわざあの高い橋に戻る意味よ…そのまま川渡れ。

とにかく、恐らく私は2度と観ることはないでしょう…
abee

abee