翔海

パターソンの翔海のレビュー・感想・評価

パターソン(2016年製作の映画)
3.9
変わらない日々にも嬉しい日や落ち込む日がある。

ニュージャージー州のパターソンに住むバスドライバーのパターソンは生まれも育ちもパターソン。彼は朝起きて隣に眠る妻にキスをして職場に向かい、仕事でバスを運転し、たまに浮かんだ言葉を書き留めては詩を創り出す。仕事から帰ると家のポストから郵便物を取り、傾いたポストを直し、妻と夕飯食べる。夜は愛犬のマーヴィンを散歩に連れてゆき、バーに立ち寄ってはビールを一杯飲みマスターとたわいのない話をするのが彼の楽しみの一つ。何も変哲もないような彼の7日間は喜怒哀楽に溢れた日々である。

アダム・ドライバーがバス・ドライバーを演じ平凡な日常に小さな楽しみを見い出すこの作品。どこにでもある日々を描いた作品に見えて所々に散りばめられたメッセージ。ジム・ジャームッシュはこれで2作目。前回のダウンバイローは難解で理解出来なかった私でしたがこの作品はあまりシンプルで同じ監督とは思えませんでした。ですが、鑑賞後にこの作品について少し調べたら見え方が一変しました。自分の言葉を詩に書き留めるも自分から発信しようとしない。スマホやpcを持っていればすぐにでも発信できる世の中に束縛を嫌い、付き合いもパターソンの街の人達だけ。そんな彼だけど小さな詩人の少女やコインランドリーでラッパーの青年に出会ったりと彼の詩に少なからず影響を与えていた。

私は詩について全く知識はないけど、この作品から伝わったのは詩も映画と似ているところはある。聞く人によって捉え方も違うし、自分に響くものが直感的に好きだと思うものであると。
翔海

翔海