八木

ジェイソン・ボーンの八木のレビュー・感想・評価

ジェイソン・ボーン(2016年製作の映画)
3.2
前シリーズを予習した際は、3部作6時間ということもあり、映画的快楽をどの部分に見るか的を絞るのに苦労した(そんで絞れなかった)。ポール・グリーングラスの生感の強い演出や、作品全体のトーンが一定してシリアスであることや、添えられたアクションがそれなりに見るところがあるために、すべて見終わった後、頭の悪い僕は「何かいいものを見た(と言っておいたほうがいい気がする)」と思った。自分を守る言い方をすれば、「何かいいものを見た」という気分を与えてくれただけで、映画的体験を得たから、このシリーズに価値があるとも思った。
新シリーズの今作で痛感したのは、2時間グラグラと揺れ続けるグリーングラス演出は、映画館で見るのにふさわしくないということと、テーマ的に相変わらず「今から何をします!」と力強く提示されず「何かわくわくすることが進行中である」という期待感をメインに画面の緊張感を保っているために『そもそも家で小さな画面でダラダラと観るのに適してるんじゃなかろうか』ということでした。
今作も続く気満々であり、予備知識と根気が必要であり、「なんかうまいことできている(と言わないと頭悪いと思われるんじゃ)」という雰囲気シャレオツさと強固なバランス感覚が張り巡らされているものの、そろそろ見る強い理由を見つけられなくなった自分がいる。よってこれでシリーズからは離脱するかもしれん。ブラックブライアー、トレッドストーン、アイアンハンドそれぞれが何を示すのか、メモにして眼前に貼っておいたほうがよいでしょう。
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