ベイビー

ファイナル・カットのベイビーのレビュー・感想・評価

ファイナル・カット(2012年製作の映画)
4.4
ホロワーさんから教えていただいた作品。本当に観て良かった!映画好きの方なら観ておいて損はないと思います。

約450作もの名作のカットを繋ぎ合わせて一つの映画にしてしまった作品。「ニュー・シネマ・パラダイス」のラストでは、検閲された様々なキスシーンのフィルムを繋げられていましたが、今作は映画史100年以上に及ぶ数々の名作たちを繋ぎ合わせて、物語を繰り広げてしまうのですから見事なものです。

物語は男女が居て、恋に落ち、やがて結ばれ、そして別れ、死も訪れ、新たな出会いが生まれ、新たな物語が出来て行くもの。まさに映画の王道と言っていいストーリーが、あらゆる名作をコラージュするように出来ているのです。

最初のタイトルクレジットは、「バック・ドゥ・ザ・フューチャー」の音楽。もうそこで期待が高まります。やがて「オズの魔法使い」の音楽が流れ、それからのファーストカットはちょっと意外な大ヒット作品。そこから観たことのある映画がどんどん出てくるんです。いちいちニヤついてしまうほどです。

そして序盤に曲をまるまる一曲歌う場面があるのですが、あらゆる映画のシーンを繋ぎ合わせて、その曲に合うようリップシンクさせているんですよ。これはもう感動もんですよ!

それとディスコソングとチャップリンの動きが絶妙なほどマッチしてたのも新たな発見でしたね。

あと個人的に嬉しかったのが、デヴィッド・リンチ作品がたくさん使われていたこと。リンチ作品が画面に出るたびに思わずニンマリしてしまいました。この作品の締めくくりを、僕が映画史上もっとも好きなエンディングである「ワイルド・アット・ハート」のラブ・ミー・テンダーにしているあたり、"good job"って叫びたくなったくらいです。

それと日本の映画もありましたね。「カウボーイ・ビバップ」「羅生門」「千と千尋の神隠し」「攻殻機動隊」「菊次郎の夏」「パプリカ」といった我が国の代表的な作品がチラチラと。黒澤明監督作品、北野武監督作品、それにアニメ界を代表する渡辺信一郎監督作品、宮崎駿監督作品、押井守監督作品、今敏監督作品がこの素晴らしい作品群の中で観れて興奮してしまいました。この中でも「パプリカ」が一番テンションが上がりましたね。

もう語り出したらキリがない今作。もちろん知らない作品もたくさんあったのですが、そのワンカットだけでもとても美しいんです。それだけでも名作感がガッツリ伝わってくるんです。名優たちの仕草や演技も改めて素敵なんですから、それ故にもっともっと映画が観たくなり、もっともっと映画が好きになってしまうんです。

ああ、本当に映画って素晴らしい!

この作品は、青山シアターさんの方で、6月25日までの間無料で観ることができます。

https://aoyama-theater.jp/feature/eufilmdays

映画好きな皆さんに是非観ていただきたいです。

僕もこの作品が観れてとても幸せでした。この作品を紹介していただき、本当にありがとうございました。
ベイビー

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