ハマジン

エル ELLEのハマジンのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
3.0
「空間」をめぐって合理的に演出が組み立てられた、もはやオーソドックスとすら呼びたくなる、かっちりとした作りの映画。扉・窓・ブラインドの開閉を「誰が」行なうかが、人物関係・ドラマの曲がり角を生みだしていく。自宅の「窓の不具合」がレイプ犯を呼び込み、風の強い日一緒に「雨戸を閉める」ことで隣人と共犯関係を結び、母の死には病室から「締め出され」、刑務所の扉を「開けてもらった」先の部屋で父の死を知る。最後は犯人と息子を同一空間に「誘い込む」ことで、主人公が空間の主導権を握って一件が落着する。
平穏を取り戻した自宅という空間に、最終的に一緒に住むことになるのは誰か……とても粋なラストだと思う。

孫出産シーンには爆笑した。両親に比べ明らかに肌の色の濃い赤ん坊と、かたわらでエヘラとしまりのない笑みを浮かべる見知らぬ黒人男。最高。
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