るるびっち

ウインド・リバーのるるびっちのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.0
レイプ被害、全米平均の2.5~4倍
殺人件数、全米の7~10倍
行方不明女性の数、全米平均を大きく上回る
そこが「ウインド・リバー先住民居留地」
平均寿命は49歳、失業率80%

若い女性にとって地獄のような土地。
アメリカの隔離政策は、ネイティブアメリカンを産業もなく、夜は急激に冷気を吸えば肺胞が凍結して窒息死する、そんな過酷な環境に追いやった。
あからさまな差別があり、ネイティブアメリカンの女性がレイプされてもアメリカ連邦管轄の土地なので州法が効かず犯人が裁かれない。なので異常にレイプ事件が多いという。

男たちは希望も未来もない雪だけの土地でヤクに走り、
女性は襲われる不安に怯え、
娘の親は、殺された娘を想い涙する。

「都会と違って運などない、生き延びれないのは弱いから」
完全に弱肉強食の世界。無法地帯だ。
肺胞だけでなく人の心も凍り付く。情けも容赦もない。
生き残ることさえ過酷な場所。

レイプされて死んだ女性を捜査するうち、
過酷すぎる環境と、そこで希望をなくして荒廃していく人々の姿が見えて来る。

法が効かない世界。
だからハンターである主人公は自己流のけじめをつける。現代の西部劇。
見て寒々とするのは、零下の白銀の世界だからじゃない。
そんな土地で、あなたにカワイイ恋人や娘が居たらどうしますか?
ホラーよりも身が凍る実在の場所。
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