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ウインド・リバーのbluemomday0105のレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.1
追いやられたアメリカ先住民が居住する「ウインド・リバー インディアン居留地」。雪と静寂しかないこの土地で、暴行を受けた少女の遺体が発見された。真相解明のため呼ばれた新米女性捜査官ジェーンは、発見者であるハンター、コリーと共に捜査を始めるが、やがて土地と先住民を覆う闇が明らかになる…。

アベンジャーズのジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンが主演格で、劇伴がニック・ケイヴと聞いて楽しみにしてましたが、思っていたより重厚かつエンターテインメントな作品!
スリー・ビルボード鑑賞後のような余韻があるし、映画としての魅力も詰め込まれて非常に面白い。これが監督第1作とは…!

宇宙服のような真っ白な防寒着に身を包んだコリーは、まるで未知の惑星に留まるしかない宇宙飛行士のようにも見えるが、彼の職務はハンター。常に死に触れている生活。彼の顔に刻まれた皺のごとく染み付く殺意。

そんな大自然とタイマン張り続けるような生活が伺える所と、「この人はこういう生活でなければ、楽しく優しい人のままだったんだろうな」と思わせる所の絶妙さ。負傷したジェーンや被害者の家族に対する場面、どれもいい…何でオスカー掠ってないのか不思議なくらいいい演技。

先住民との問題は知識がなさすぎて何とも言えないけど、感じたのは「人間、衣食住がギリギリ足りても希望を失ったら心は死ぬんだ」ということ。
若者には「ここではないどこかへ」という希望はあるけど、どこへも行くことはできない若くない人間はそれすら縋れない。
そして、死んだ心の代償は自分より弱き者へ向かう。
何とも言えない。

あと、そんな厳しい土地に「ウインド・リバー」なんておためごかしぽい風光明媚な名前付けるんだ…とか、ちょっと日本でもそういうのあるよなと。

ジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンは、MCU同様にいい師弟コンビでした。ホークアイとスカーレット・ウィッチのスピンオフかな?ってくらいに。
ジェーンが乱闘を制しようと手を広げたときは「めんどくさいから、もうそっからビーム出しちゃえよワンダ!」とか思ってしまったけど。
ニック・ケイヴの劇伴も不穏でよかった。