新潟の映画野郎らりほう

イレブン・ミニッツの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)
4.7
【何故私は私なのか】


戯れ言を云う。

911、そして311。どちらもTV生中継で見た。
その叫喚に愕然とする一方で、今 私が見ているのは モニター上の無数の画素/ピクセルが 単にグラデーションを描いているに過ぎず、そこに倒懸も 寂滅も 更に云えば意味すらも本来的に絶無であるという独我論 -solipsism- の極点であった。

何故此処ではなくNYなのか、何故私ではなく彼等なのか。そして何故私は〈それを〉安全無風な屋内で見ているだけなのか。

軽易な感情移入で[他我]である筈の それら苦痛や 死を 唯 類推し共感した〈つもり〉こそが、前述の独我論以上に 利己主義的となるパラドックス。

一見 点と点が繋がる様にみえて、他者立場を理解した様にみえて、それは利己主義な類推 -Problem of Other Minds- に過ぎず 意味/存在すら絶無とする超越的視座に立ち尽くす。




《DVD観賞》