小

帝一の國の小のレビュー・感想・評価

帝一の國(2017年製作の映画)
4.0
積極的に観るつもりはなかったのだけれど、タイミングがあい、お気軽に観れるだろうと思い鑑賞。うーん何か違和感、何かモヤモヤする…というのが鑑賞直後の感想。その違和感を考えていくと、これはちょっとやられたかも、と。

パロディとして良くできていると思った。日本の政治をバカバカしく、思いっきり皮肉っている。でもそれが面白いとか気持ちいいとか感じるのかと思いきや正直、好きになれない。この自分の違和感の正体をなんとかでっち上げるべく、以下、考えすぎな感想を。

結論から言うと、違和感の正体は政治に対する嫌悪感ではないかと。この映画は日本の政治の本質をとても良く表現しているように思う。ラストで主人公の帝一が日本政治の権化のように見えてくる。

周囲に政治について真剣に語る人はほとんどいないし、自分もどちらかと言えば政治に興味がない。政治は一種のタブーなのかと思うような時もある。

テレビに映し出される政治家の言動。後を絶たない失言によって浮き彫りになる彼らの本音。表面はきれいに保とうとするけれど、にじみ出てくる内面の汚さ。そして思う。政治はケガレで、政治を司る人は、腹黒く、信用ならない、と。

そういう人には関わりたくないから、生活に困らなければ、政治への興味を失っていく。一方で、興味を失われた政治家は「これで好き勝手にできる」とほくそ笑む。

劇中に出てくる「マリオネット(あやつり人形)」というピアノ曲、この映画にテーマがあるとしたら、この曲名に象徴されている。

マリオネットは誰なのか。劇中の登場人物たちなのか。いやきっと帝一に嫌悪感を抱き、やっぱ政治ってくだらね、と思ってしまった自分なのだろう。帝一にしてやられた気分でちょっと悔しい(褒めてます)。
小