小

ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜の小のレビュー・感想・評価

3.5
現実世界における問題を夢の中の世界というメタファーとリンクさせながら物語が進行ししていくアニメ映画。まあまあ面白かったと思うけれど、いまひとつ人気がないみたい。

何がいけないのかを考えると、現実と夢をリンクさせるという物語の枠組みの大きさに比べ、そもそものネタが小さいからじゃないかしら。

中小・零細企業が先行して完成した技術を、出遅れた大企業が横取りするのを、なんとか阻止しようと頑張るみたいな。大企業の中ではその技術が権力争いに利用されるみたいな。中小・零細企業の方は横取りを阻止したところで、その企業だけでは大して意味ないじゃんみたいな。

それにその技術自体も今ではすっかりリアルになって、夢が感じられないし、大団円の状況だって、技術立国日本の世界へのアピールに間に合ってよかったね、みたいな話。

オジサン的にはオッケーだけれど、普通に考えると、はっきり言ってしょぼい。勤め人の仕事を大げさに演出する往年のNHK番組『プロジェクトX』を思い出した。

技術革新で経済成長しようみたいな価値観が今でも根強いことはわかるのだけれど、もはやほとんどリアリティがないから、映画界では時代遅れではないのかな。それよりもいま求められているのは、経済成長に代わる価値観の創出であり、それを実現するような技術の創出だと思う。

だから、まだ実用化にはほど遠いけれど、将来価値観が変わるかもしれない可能性の提示みたいなものがあればよかったと思うのだけれど…。今後、成長した森川ココネちゃんに期待かな。
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