こぼちゃん

最後の追跡のこぼちゃんのレビュー・感想・評価

最後の追跡(2016年製作の映画)
4.1
監督 デヴィッド・マッケンジー、脚本 テイラー・シェリダン。石油ぐらいで疲弊している現在のテキサス。そんな中、家族を守るため、犯罪を犯す兄弟。

表題は、『Hell or High Water』
地獄でも洪水でも。必ず、何があっても、何が何でもと言う意味で、家族を守りたい男の物語

第89回アカデミー賞では作品賞を含む4部門にノミネート。

チョコミントさんのお勧めです。ありがとう。

テキサス州西部。早朝、ハワード兄弟はテキサス・ミッドランズ銀行の2つの支店に強盗に入る。計画は周到に練られているが、荒々しい気性を持つタナー(ベン・フォスター)は慎重さに欠けていた。兄の粗野な振る舞いをトビー(クリス・パイン)は苦々しく見ている。

銀行強盗事件の捜査を命じられたのは、テキサス・レンジャーのマーカス (ジェフ・ブリッジス)とアルベルトであった。定年退職を間近に控えていたマーカスは、手際よく捜査を進めていった。奪った金はカジノでチップと交換する。2人は交換した金を「タナーがギャンブルで得た儲け」に見せかけることに成功し、意気揚々と帰路についた。

米国では、第69回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」で上映され、全米32館で限定公開だったが最終的には全米909館で公開。Rotten Tomatoesでは10点満点で8.5点。Metacriticでは、重平均値は88/100。日本では、未公開で、ネトフリのオリジナル配信扱い。

米国で評価が高いのは、映画の中で、"3回イラクに行くも支援なし"のポスターにあるように、NYなど都市部や西海岸やマイアミの観光地は賑やかでも、テキサスなどは経済的に疲弊してる背景をとらえている。

牧場の牛は痩せこけ、母は病気で死亡、部屋には看護/介護用のベットと点滴が放置。多額の借金の期限は、一週間。天然ガスの会社を辞め、母の介護をし、離婚した家族の行く末を心配するトビー。

貧乏人に貸した金の返済を迫る銀行は、開拓時代の鉄道敷設、大きな金になる土地を農民から狙うかのように映る。テキサス・レンジャーの相棒は、ネイティブ・アメリカンの血を引く。白人のマーカスがネタで相棒を揶揄するが、白人でさえ、衰退しているテキサス。

町の食堂では、Tボーン・ステーキしか料理はなく、付け合わせはコーンか豆しかない。東部の豊かな生活、デニーズなどでは、好きな料理やデザートを選べるが、西部では選択はなく、厳しく貧しい人生だけ。

何があっても、何が何でも、家族を守りたい男たちの結末は🌵🌵🌵。
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