シネマノ

お嬢さんのシネマノのレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
3.9
オールタイムベスト・サスペンス映画『オールドボーイ』を生んだパク・チャヌク監督の最新作。

韓国に戻って撮った作品というだけあって、かなり彼の変態的成分多めな作品。
欲望が剥き出しで個性的なキャラクターは相変わらず、今作は日本統治下の韓国という背景によって、当時の韓国人貴族が憧れた日本文化と西洋文化が入り交じった異様な世界観を再現している。
人物の思想や、屋敷、小物、衣装などこだわりが見られる。
いままでの作品で評価を得てきた監督だからこそできる贅沢な作りに酔うが、作品上頻出する日本語が聞き取りにくいという難点も。かなり上手いし役者陣の気合いは伝わってくるが、字幕をつけてほしかった。
これは海外での好評と日本での評価にかなり差が出てしまうのではないだろうか。

ミステリーとしてもなかなかか良くできており、三部から成る本作は長尺ながらも飽きさせない。どんでん返しで驚き、分かりやすいが丁寧な伏線をしっかりと回収するので、ミステリー好きにも受けるのではないかと思う。

エログロ要素に、ブラックな笑いを持ってくることでお重すぎない絶妙な塩梅は見事だが、もっとエグい救いすらないパク・チャヌクが好きな自分やファンからすると、すこしショックを受けるかもしれない。

いずれにせよ、濃厚な作品をしっかりと届け続けてくれるパク監督に感謝したい。
評価は十分すぎるほどついてくるので、監督にはこんな風に韓国で自由な作品を撮り続けて欲しいなと思った一作。
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