マヒロ

ブンミおじさんの森のマヒロのレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
3.5
病に侵され余命幾ばくもないブンミおじさんの元に、若くして亡くなった妻の幽霊と、森に行ったきり行方不明になっていた息子が毛むくじゃらの猿人と化して戻ってきた…というお話。

世界観が謎すぎるが、もう最初からこちらに理解させようという気はないんだろうなというレベルの突き放しっぷりなので、無理矢理何かを見つけ出そうとするよりは、諦めて映画の雰囲気に浸る方が正解なように思えた。
妻の幽霊の唐突な現れ方とか、猿人(=森の精霊らしい)が赤い眼を光らせて森の中に佇む様子とか、さり気ないシーンの切り取り方にいちいち非凡さを感じさせる。
シュールさやアート感を狙っているようにも思われそうなノリなんだけど、ブンミの元に集った幽霊と猿人が食卓を囲む様の微妙な面白さとか、タイらしい温かみのある画面やふれあいの様子が、そういういやらしさを感じさせなかった。

後半に行くにつれて謎描写が増えていき、顔にコンプレックスを抱える女性(誰なんだ)がナマズとまぐわうシーンとか、ラストの病室での一連のシーンとかはとにかく頭にハテナがいっぱい浮かぶんだけど、ここまでくるとまぁこういうものかと割り切って観れた。
リンチみたいな不条理劇とかとはまた違った、アジアならではの独特の雰囲気がある、唯一無二の映画といった感じ。

(2018.4)
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