nero

サバービコン 仮面を被った街のneroのレビュー・感想・評価

3.0
さすがにコーエン兄弟+ジョエル・シルバーのタッグらしく、なかなか毒の効いたプログラムだけど、仕上がりが少々優等生タッチにも感じるのはG・クルーニー監督のせい? まぁ自分が顔出してないのはいいね。

1950年代ゴールデンエイジのアメリカンライフを実体化した夢の街サバービコン。その裏側に蠢く人間のいやらしさを2つのシークエンスでチクチクと描き出す。

ひとつはニューカマーの黒人一家へのいやがらせから露骨な排斥へ、そして暴動に至る白人コミュニティの愚昧さ。ただ、この差別感描写はなんだかちょっと腰が引けてるっぽい。宗教やユダヤ系への意識も含めて日本人には実感しにくい部分だし、モヤモヤするのもむべなるかな。挟まれる子供の交流もちょっと印象弱い。むしろ子供のほうが差別意識ってはっきり出るんじゃないの?

もうひとつが保険金詐欺を企む男と女。妻の交通事故だけでは足りずに、仕込み強盗で生命保険詐取まで踏み込んでしまうが、所詮は素人プラン、綻びの連鎖で破滅へと至るオマヌケ展開。 
オチもコーエンテイストで悪くないんだが、この二つの流れがいまいち連動していない。この2つの家族はストーリー上もっと絡み合ってすれ違って欲しかった。

ラストシーンの裏庭は、見ていてノーマン・マクラレンの「隣人」を思い出した。子供たちのキャッチボールはたしかに殺伐感を和らげてはくれるが、もうちょいドライでブラックでもいいような気もするんだよね。やたら血みどろだしさ。
nero

nero