河豚川ポンズ

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリーの河豚川ポンズのレビュー・感想・評価

4.0
若きハン・ソロの武勇伝な映画。
オールデン・エアエンライクを初めて見たときは全然ハリソン・フォードにあまり似てないなあと思ってたけど、いざ蓋を開けてみればどんどんハン・ソロに見えてくる不思議。

惑星コレリアのギャングの下っ端として犯罪を犯しながら暮らすハン(オールデン・エアエンライク)は、恋人のキーラ(エミリア・クラーク)とともにいつかこのコレリアを抜け出し、パイロットになることを夢見ていた。
そしてついに出国審査官に賄賂を用意しギャングから逃げ出すが、あと一歩のところでキーラがギャングたちに捕まってしまう。
見つかるのも時間の問題となったハンはキーラに必ず迎えに行くと誓い、"ハン・ソロ"という名前で帝国兵に志願するのだった。

2時間15分みっちり暴れまくりのまさに娯楽映画。
ここまで娯楽に徹してるスターウォーズは確かに珍しいのかも。
フォースもジェダイもかけらも出てこないけども、向こう見ずの青年が銀河一のアウトローの”ハン・ソロ”になるまでの物語がスッキリ爽快に繰り広げられる。
今までのスターウォーズがSF冒険モノ、ローグワンが戦争モノだとするなら、これは西部劇モノだと思う。
友人に女にとにかく裏切られ、愚痴を言いながらもそれでも反抗心を忘れず信じるものとプライドをかけて戦うのは、まさにハン・ソロの物語だろう。

敵役のポール・ベタニーは最近「アベンジャーズ」のヴィジョンとして見ることが多いもんだから、本当に最初は誰か分からなかった。
というかヴィジョンは顔真っ赤だし、今作でのドライデンは顔傷だらけだし、演じる役の顔に特徴持たされすぎなのでは。
しかも最高にイカした武器使ってくるしで、とにかくインパクトに事欠かないキャラだった。

何かと言われてきた「ケッセルランを12パーセク」の意味がようやく分かった今作。
それ以上にもっと無謀なめちゃくちゃをしているような気がしなくもないけど、やっぱりこの言葉に意味が備わったのはうれしい。
そのシーンに初めてハン・ソロがミレニアムファルコンの操縦桿を握った時にスターウォーズのテーマが流れるなんて、それだけでもう涙が出てくる。

一方で色々と賛否両論が繰り広げられてるこの映画だけれども、確かに他の映画と違ってだいぶアクションに振り切ってるなあとは思った。
めちゃくちゃに大きな戦いに身を投じるわけでもないし、かといって深いサスペンスや人間ドラマがあるわけでもない。
そう考えるとスターウォーズらしくないのかもしれない。
でもそうはいっても主人公はフォースも使えない、駆け出しのアウトローなのだからそれを求めるのは無茶だと思う。
何より本編でできないことをしてこそのスピンオフなのだから、こういったチャレンジは歓迎されるべきなんだとも思うけども、やっぱり40年も続くと頭の固いファンがどうしても多くなってしまうのだろうか…

というかこれぐらい許してもらわないと、俺が待ち望んでるボバフェットのスピンオフなんて、それこそ夢のまた夢のさらにその先の夢になってしまうので、なにとぞディズニーとルーカスフィルムにはここらで根性を見せてほしい。