平野レミゼラブル

忍びの国の平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

忍びの国(2017年製作の映画)
2.9
和田竜氏の同名小説の実写化。個人的には和田竜作品では『のぼうの城』よりも、こちらの方が好きです。少年誌でコミカライズされてるだけあって、あちこち少年漫画的な強さ表現あるんだよね。「プロテクターが壊れたから、ここからは本気の速度だぜ」「今まで本気ではなかっただと!?」みたいな。

さて、その実写版なのだが、文吾や三郎左衛門といった登場人物の一部はオミットされているものの、和田氏監修のもと、それ以外はコンパクトに忠実にまとめて再現しているためストーリー自体は問題ない。

ただ織田軍が正統な時代劇殺陣な中で、伊賀の忍びどもは『忍術』としてポップでコミカルな戦い方になっているのは結構拍子抜け。忍びの異質さを表現したいのはわかるのだが、ほとんどギャグのような感じで織田軍鏖殺が描写されるのは流石に場違いすぎたし合戦のテンポとしても結構微妙。
上述の最強の忍び無門の「今まで俺の力を抑えつけていた鎧が壊された」ムーヴもコメディ寄りの表現になるものだから凄みとかが消え失せてしまっている。

ただクライマックスの無門vs平兵衛、最強vs最強の超高速殺陣は圧巻。ダンスやってる大野くんの動きが良いのはもちろんのこと、あの堂々たる体躯でどうやったらこんな機敏に動けるんだよ!?っていう鈴木亮平の早さと迫力が凄まじい。
 ニンジャ動体視力をもってしなければ追いきれぬ動き。おお見よ!全身の筋肉に、カラテが漲り、動きの軌跡が色付きの風となるこの光景を!!これがニンジャのイクサである!!ゴウランガ!

トータルで見るとそこそこではありますが、見たいものは最後の殺陣に込められている映画です。
 鈴木亮平はもっとこういう殺陣バリバリの時代劇出てほしいなァ。