ヨーク

アリータ:バトル・エンジェルのヨークのレビュー・感想・評価

4.2
最初に言っておくと俺は原作漫画の『銃夢』のそこそこ熱狂的なファンである。セリフを丸暗記してるほどのめちゃくちゃ熱狂的なファンではないが。なのでつまんなかったら『アリータ』クソだったぜぇ!て言おうと思ってたんですよ。でも結果的には最高に近い映画化だった。これは『銃夢』だ、とまず言いたい。『銃夢』めちゃくちゃ面白かったよ。
素直な感想としてはなんかもうね、まともな精神状態では観れなかったね。映画としての出来がどうとかそういうのを考える余裕もなかった。主人公が拾われてボディを与えられて動いて喋るようになってからは「ガリィだ!ガリィがそこにいる!」と何か終始気持ち悪い笑顔のままで観ていましたよ俺は。もうこれは10代の頃に原作によってサイバーパンクの世界に導かれた者としてはちょっと言葉にならない。映画を観ながら楽しいとかつまらんとか上手いとか下手とかじゃなくてうれしいという気持ちが前面に出てくるのはいつ以来だろうか。無限の住人とかジョジョとか原作大好きで映画も良かったけど別に映画の中でうれしさに浸ることはなかったな。
とまぁ原作ファンなら感無量ではあるんだけど原作ファンだからこそ気になる部分もあって、割と物語の設定が根幹から改変されている部分もあるんですよね。あの人がすでにあの場所にいるとか、過去の戦争の描写とか。あとこれは物語的な改編ではなくて全世界の全年齢層向けにしたことによる修正だと思うけどアリータが「悪は許さない!」みたいなセリフを言うこととかね。あれ原作のガリィならそんなこと言わないですよ。ガリィは自分が正義のために戦ってるだなんてこれっぽっちも思ってないだろうし(私の正義がこの世の正義だ、くらいのことは思ってるかもしれない)。まぁでもそこは制作費との兼ね合いで全年齢を対象にしなければいけなかったのであろうということで納得は出来ます。また逆にいかにもガリィが言いそうなセリフだ! と思ったけど実は原作にはなくて映画オリジナルだったセリフとかもあります。映画というメディアの都合上、若干マイルドな表現になっているところはあれ、登場人物が原作と別物のキャラクターになっているということはありませんでした。ていうか上述してるけれど俺にはガリィがそこにいるようにしか思えなかったからね。
あと原作よりも明らかに良かったなぁと思うのはアリータとヒューゴの関係ですね。あの二人の淡い初恋のような描写は原作よりも丁寧でアリータはガリィよりも可愛らしい女の子として描かれていたと思います。
というわけで非常に面白かったし個人的には続編超希望です。しかしまぁつらつらと書き連ねましたがこれはあくまでも原作ファンの俺の感想でしかないので、原作未読の方がどう思うかは分かりません。そういう意味ではあてにならないレビューかもしれない。
ただ間違いなく言えるのはSFサイバーアクション映画(ちょっとだけラブもあるよ)としては普通に面白い出来にはなっているはずです。
普通に面白いってことは凄いことなんだけどね。いや本当に。
とにかく続編やってほしいなぁ。ジャシュガンとザパンをじっくりと観たいよ。
面白かったです。
ヨーク

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