らくだ

手紙は憶えているのらくだのレビュー・感想・評価

手紙は憶えている(2015年製作の映画)
4.5
認知症によって記憶を保持できなくなってしまった老人が、友人に託された一通の手紙をもとに仇を探し遠い昔の家族の復讐を果たす、というお話です。
主人公ゼヴがよろよろの老人であることも手伝って物語が非常にゆっくりと和やかに進んでいくので、復讐劇のはずなのにほんわかした紀行モノと見まごうレベルの空気なんですよね…道中で出会う子どもたちや街の人々との会話もなんとものんびりしたもので…い…いや…だめだ!騙されてはいけない…これは復讐譚なんだ…

謎が複雑に絡み合ったサスペンス、というわけではなく、ストーリーの道筋は一本まっすぐに伸びているんですが、主人公の認知症でのおぼつかなさも含めた危ういお話の展開や(特に中盤以降の)結末までの90分間、非常にスリリングに進んでいきました。物語のテンポ運びはとてもゆるやかなのに緊張感が途切れず、超面白いです。


色々と言及したいところもあるのですが、この手のサスペンスはあまり内容に言及するとこれから観る人の面白さに影響するので…かなしい…
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