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哭声 コクソンのシネマノのレビュー・感想・評価

哭声 コクソン(2016年製作の映画)
4.4
期待を裏切らない、というより取っ払って心にグサリとくる映画を放ち続けるナ・ホンジン監督の新作。

『チェイサー』、『哀しき獣』など賛否分かれる凶悪なサスペンスの鬼が6年を費やして叩き込んできた本作はジャンル分け不能。
サスペンス?ミステリー?ホラー?コメディ?バイオパニック?オカルト?ごちゃごちゃに混ぜ込んで、20分おきに観客にどんでん返しの背負い投げを食らわせ続ける。

田舎の村で家族を殺してしまい、自分の精神すらもイカれてしまうという猟奇的な事件が連続して発生。
それを追うは韓国お得意のポンコツ警官。原因はなにか?村を破滅に導く脅威の正体とは?

事前にいれる情報は最小限でいい。
めまぐるしく変わる展開と、村の不穏さ、狂気の事件現場、美しい自然などこだわり抜かれた映像。
クァク・ドウォンが絶妙な演技で魅せる人間の変貌、ファン・ジョンミンと國村隼の憑依型怪演。
なんと素晴らしいことか。

終盤の展開は必ず誰かと語り合いたくなる。3時間近い長尺なのに最後の一秒まで観客の魂を鷲掴みにする。

観た後、こんな映画観たことねぇ!と新鮮な気持ちを与えてくれる。がしかしこんな無謀で限界を少し超えてしまっている作品はナ・ホンジンにしか描けないのかもしれない。

文句なしおすすめ、というか語り合いたいのでみんな観てよ!な一作。
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