⚪概要とあらすじ
『アシュラ』などのクァク・ドウォンが主演を飾り、『チェイサー』『哀しき獣』などのナ・ホンジン監督と組んで放つ異色サスペンス。
警察官ジョング(クァク・ドウォン)が妻と娘と暮らす平和な村に正体不明のよそ者(國村隼)が住み着いて以来、住人たちは彼のうわさをささやいていた。やがて、村で突然村人が自分の家族を手にかける事件が発生する。犯人には、濁った目と湿疹でただれた肌という共通点があり...。
⚪キャッチコピーとセリフ
“疑え惑わされるな。”
「なぜ 心に疑いを持つのか」
⚪感想
ジャケットが綺麗で気になっていた作品。156分と少し長めだったので観るか悩んだけど観て良かった。時間の長さは全く感じなかった。
難解と言うよりは物語の本質がそれ。
自分の解釈をどう落ちつければいいか分からない。ひとつ解釈を作ると矛盾が生じて、変えるとまた矛盾が生じる。この映画の正解はないと思うし、それぞれ思った解釈が正解なのでは。
監督も解釈が分かれるよう作っているようだし。
他の韓国映画に比べて登場人物が見分けやすくて助かった。
内容のエグみと惨さはいつものように濃い。
冒頭のセリフからあるように宗教色が強め。
監督へのインタビューにも「聖書からヒントを得たキャラクター...」との記述もあったし。
宗教のここをモチーフにしたと言うよりは宗教の信仰概念が表現されているような感じ。
韓国映画というか韓国の方の喜怒哀楽の演技が凄く好き。急にカッとなったり、「ぎゃぁあ」とびっくりしてビビったり、「うわぁーん」と泣いたり。
素っ気ない態度やコントみたいな会話もじわじわくる。シリアスなボケ的な。
ふんどしがオムツって言われていて「ん?」ってなった。日本の伝統的な下着で韓国ではないのかな?映画の男性が焦っていて見間違えたのか、ボケとしてそうしたのか。
ふんどしシーンは台本では裸だったそうだけど変更されたみたい。
日本だとギャグみたいなモザイクになるから正解だと思う。モザイクなしならその方が狂気感は増す。
祈祷シーンは息をする間もなく張り詰めていて圧倒されてしまった。
禍々しく不気味だけど美しくて鳥肌がたった。
祈祷師役のファン・ジョンミンは『傷だらけのふたり』で主役だった方だ。
優しそうだけどちょっとグレてる感じのお顔が好き。
主人公のクァク・ドウォンは『アシュラ』に出演していた覚えはあるけど『傷だらけのふたり』『アジョシ』に出演していた覚えがない。
正体不明のよそ者を演じるのは國村隼さん。日本人のキャラクターとしてだし、ちゃんと日本語を喋っているのが良い。
優しそうな人に見えて謎めいた感じ。
登場人物の全員演技が上手くて引いてしまうほど。ヒョジンの役の子もなかなか。
言い表せない凄さ。
この終わり方でもなんの不満もないし、逆にそれが面白かった。
矛盾や辻褄の合わない物語は嫌いだけどこれは物語の本質だし矛盾や辻褄が合わないのは私がそう錯覚している可能性があるから好き。
⚪以下ネタバレ
國村隼さんの怪演。
序盤のふんどしだけで顔面血だらけで襲ってくるシーンの恐ろしさ。目が赤くなっていていつもなら笑ってしまうところだけど怖さが勝った。
最後の悪魔のような姿になるまでのシーンが怖すぎる。
個人的に最初は、主人公の娘はよそ者に呪いをかけられて、祈祷師はよそ者と組んでいて、若い女は味方って思っていたんだけど、祈祷師が祈祷した時によそ者は苦しんでいたし、若い女は祈祷師が来たのにも関わらず殺すことはしなかったし、よそ者が崖から落ちてきたのは若い女が突き落としたからじゃ...みたいな感じで矛盾が出てきておかしくなってくる。
全部幻覚キノコのせいだった方が落ち着く。
観ている自分がこの村の住人になってしまったように感じてしまう。
餌と日本人はイコールで繋がるような。
ゾンビみたいなのは何だったんだろ。
幽霊は理解できても神、悪魔ってなんか違和感がある。宗教が深く根付いている国なら見方も違うのかな。
祈祷師のゲロの量がやばくて印象に残りすぎた。
結果的にいちばん罪深いのは主人公だったりしてね。
⚪メモ
⚫「哭声(コクソン)」︰
実在する韓国の地名「谷城(ナ・ホンジン監督が幼少期に住んでいた全羅南道谷城郡)」と、「泣き叫ぶ」という意味の「哭声」をかけたものである。
⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。