Same

DEVILデビル/ラマン・ラーガヴ 2.0 ~神と悪魔~のSameのレビュー・感想・評価

3.0
ラマン・ラーガヴというインド史上最悪の殺人鬼に着想を得た物語。
最初に語られるように41人を殺したラマン・ラーガヴの物語ではありません。

主人公はラマン・ラーガヴに憧れる連続殺人鬼ラマンナと、ラマンナを追うヤク中の刑事ラーガヴァン。

追うものと追われるものに分かれているストーリーではありません。ラマンナは自分の気持ちの赴くままに殺人を繰り返します。演じるナワーズッディーン・シッディーキーが素晴らしい。飄々とよく分からないことを喋り続け、時には弱々しい小市民に見え、時には狂気を見せ、とても魅力的な人物像を作り上げています。生き生き自由に生きる殺人鬼笑
個人的にはわけがわからない独自の理論で話してるくせに、話が上手なこの手の人間は大嫌いだし、全く信用出来ないのでかなり警戒して付き合うタイプですけど笑

対する警官のラーガヴァンは、イケメンで超美人の彼女もいますが、いつもキレていて性格も最悪笑、ヤク中で殺人もいとわないそれはもう悪徳警部補笑
全く正義感で行動はしていないですが、表向きは社会の一部として機能しています。

その日暮らしをしながら口八丁で渡り歩き、気分で人殺しをする自由人と、金と社会的地位を得ながら、不自由で自ら破滅に向かっているけれども社会や制度にしがみつく男が邂逅し運命が1つになっていきます。反目する存在のようですが、序盤にラマンナにはまともに生きる人への憧れと嫉妬が垣間見えたし、ラーガヴァンの悪行を目撃した時に自分の生きる役割を見つけたのでしょう。

完全には監督の意図が汲み取れなかったですが、人間は社会的な善悪とは関係なく、欲望に忠実で弱く何かに救いを求めるもので、かなり人間の醜い方向に舵は切っていましたが、2人のキャラクターを使って本音と建前というか、現代社会の生きにくさを表現したのかなと。

ヒンドゥーの叙事詩ラーマーヤナになぞらえたらしく、チャプターを分けたストーリーや、主人公ラーマから取ったとされるラマンナとラーガヴァンの名前。これはキリスト教圏の映画が聖書になぞらえたストーリー仕立てにするのと同じような感じですよね。
それを知ってラーマーヤナのあらすじを読んでみたのですが、こんな付け焼き刃ではこの映画との類似性は見いだせなかったなあ。ちゃんと読まなきゃ。

インドのリアルな生活が垣間見えたのも良かったし、使い方のタイミングは変でしたが笑、音楽も素晴らしかったです。

ここまで褒めたように書きましたが、まあまあ退屈な物語だったし、めちゃくちゃ面白い映画というわけでもなかったかなあ笑
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