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ワンダー 君は太陽のYACCOのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.5
原作を読んだ時も涙が止まらなくて、映画化、それも「ルーム」での素晴らしい演技が記憶に新しいジェイコブくんが、主役のオーガスト(以下、オギー)役と聞いて、公開を楽しみにしていた映画。
原作では、オギーをはじめとして、姉のヴィア、友人のジャックとサマー、ヴィアの彼氏のジャスティン、ヴィアの親友のミランダと様々な視点から見た、オギーとその家族について描かれているのだが、映画ではその設定を残しつつも、オギーからの視点を中心に話は進んでいく。映画化のためにか多少の設定変更や脚色はあったものの、なんら遜色はなく、それどころかよりドラマティックな演出になっていたように思う。(原作ではオギーの顔の描写がもっと具体的になっていたり、後半になると補聴器をつけていたりするのだが、そこはややマイルドになっていたようにも思うが、実写化にするにあたってそこは思うところがあったのかもしれない)

ジェイコブ君演じるオギーは、実写化によりその魅力がアップしていた。本で読んでいた時のイメージが膨らみ、愛おしく感じられる存在になっていた。彼がヘルメットを脱いで初めて学校に行く姿も、そこから健気に頑張る姿も、とっても可愛らしくて、愛おしく感じられた。(それどころか、初登校の時点で目頭が熱くなった 笑)

そして、オギーの両親と姉が本当にもうこれ以上にないほど良い家族で。
強く優しい母親に、面白くて愛に溢れる父親。賢く思いやりのある姉。(性格も良く見た目も可愛い優等生ヴィアにも実は葛藤があったりするのだが、それをきちんと織り込んでくれたのが良かった。)世界のどこかに本当にこんな家族がいるのだとしたら、その存在だけで素晴らしすぎて泣けてくる。いや、フィクションですけど(笑)

身体のこともあり、学校に通うことが出来なかったオギーが、学校に行くようになってから、わかってはいたものの色々なことが起こる。最初の頃は、大方が辛く悲しい出来事だ。子供はある意味残酷なのだ。いや、大人の私だってもし街のどこかでオギーにであったなら、どんな顔をしてしまうのだろうと思う。
学校という新しい世界に足を踏み込んだオギーが出会う、新たな友人、同級生たち。類は友を呼ぶのか(笑)、オギーが出会い仲良くなっていくジャック・ウィルやサマーはとても良い子だった。でも、子供故の過ちもあったりして、それを乗り越えていくさまも良かった。また、一方ではいじめっ子の標的にもされてしまうのだ。(いじめっ子の描写は原作に近かったけれど、彼はこれを機会になにかを学んでくれたならばいいのだけど、あの両親はどうなんだろうか)
そんなオギーが学校に通い始めてからの一年を描く物語。
ラストの修了式の描写は原作よりもぐっときた。あんな表彰とっても粋だ。

この映画でオーガストとその家族を通して描かれていることは、素晴らしすぎて美しすぎると思う人もいるのかもしれない。けれど、私はこの自分が受けた感動を素直に受け止め、自分のなかの大切な場所にそっと置いておきたいと思った。そのくらいとても大切な物語だった。そして、出来たらこの物語が多くの人の心に寄り添うことを願ってやまない。
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