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ワンダー 君は太陽のneroのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
3.5
予告からは、年代的にもどうしても「エレファントマン」を思い浮かべずにはいられなかった。でも、そんなひねくれた見方は許さない、驚くほど真正面から、戦う一人の少年と彼を支える人々を描いた作品だった。
正直真っ直ぐすぎて気恥ずかしくもあるし、映画としては、確かに「ルーム」ほどのインパクトはない。それでも、ひとり世界に向き合おうとするオギー、SONでありSUNであるオギー、ただし本人は自分が中心であるなどとは考えずに周りを照らす存在となるって、家族のそして人々の愛情に、素直に涙してしまう。

オギー、ヴィア、ミランダ、ジャック、それぞれの内面を垣間見せる構成にも、盛り上がりには欠けるが、ひたすら優しいまなざしが満ちている。一歩間違えたら宗教臭くなるほどだが、それでも誰一人信仰に救いを求めていないのは清々しい。サマーも、ヴィアの彼ジャスティンも、みんないい子。トゥシュマン校長はじめ先生たちもいい人ばかりなのに、ジュリアンだけ救いが用意されなかったのが疑問に思えるほどだ。もちろん子どもの残酷さも世の悪意も現実ではあるが、それでも人間は信頼すべきなのだろう。

一番惹かれたのは、なんといってもヘルメットをくれたミランダちゃん。美しくて気持ちも優しい、なんていい子なんでしょ。オギーとの間のコールサイン、「トム少佐」って呼びかけに仄見える彼女の暖かさにじんわり。二人だけの間の宇宙アイコンだったのだろう、ボウイの囁くような歌声が彼女の声に重なって聞こえてくるようだった。オギーの”宇宙”シーンのバックにSpace Oddityを流さない潔さもよかった。
ミランダを演じたのは ダニエル・ローズ・ラッセルちゃん、うん覚えた♥
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