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ワンダー 君は太陽のkomoのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.5
もう2月になってしまいましたが、あけましておめでとうございます(^^)
今年1本目はこちらの作品でした。

トリーチャーコリンズ症候群により人と違う外見を持つオギー(ジェイコブ・トレンブレイ)が、小学5年生にして初めて学校に通い始めるというお話。
それまでオギーは外出時、顔を隠してくれるフルフェイスのヘルメット(大好きなSFの世界にちなみ、宇宙服のヘルメットを模している)を必ずかぶっていました。
そのヘルメットを脱ぎ捨て、優しい父(オーウェン・ウィルソン)と母(ジュリア・ロバーツ)に見送られて登校するものの、やはりクラスメイトたちから好奇の目で見られてしまい…。

自分が見たものに対して何かしらの感想を抱くのは、人として自然な反応であるとも思います。なぜなら人間には『価値観』があり、それがあるからこそ人生を豊かにすることができるから。

けれども自由な感想を抱いたあとには、『見たままの印象で全てを判断しないこと』、
そして『自分の価値観を押し通すために、相手の尊厳を侵害したりしないこと』が必要になってきます。
しかしこれは子供はおろか、大人でも本当に難しいことだと思います。

「僕は顔が醜いからみんなに嫌われるんだ」と悲しむオギーに、母が「顔はその人が生きてきた地図なのよ」と諭していたシーンが印象深いです。
ありのままを象った地図というものに、美醜や優劣はありません。
数え切れないほど笑ったり、泣いたり、つらいことに耐え忍んできたその足跡を、人は知らずのうちにその身に刻んでいたのだなぁと。

学校が終わる時刻に、宇宙ヘルメットをスタンバイして校門前で待っている母の姿に涙させられ、
オギーに友人ができて、初めてそのヘルメットを素通りする瞬間にも涙。

オギーの姉、ヴィアも良い人物でした。
しっかり者で手がかからないお姉ちゃん。
両親がいつも弟のことばかりを気にかけるので、そうならざるを得なかったのでしょう。
両親と水入らずの時間をなかなか得られず、悩みも抱えている彼女はこのままグレてしまうのでは…と思ったけれどもそうはならず。
ひょんなことから演劇の才能を開花させて、日常のフラストレーションを華やかなお芝居へと昇華させてしまいました。
作中でヴィアの友人にも焦点が当たるところも良かったです。

オギーを太陽に、周りの人物たちを彼にとっての惑星に喩える副題も素敵。
いじめというつらいものがこの世からなくなりますように。
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