平野レミゼラブル

Death Note/デスノートの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

Death Note/デスノート(2017年製作の映画)
2.0
ハリウッド版デスノートなのだが、このデスノート、なんと心臓麻痺で死ぬ人間が1人しかいない。
その代わり、挿入されるのはゴア描写!!ノートに名前を書かれれば、紙袋が破け果物が転がりそれを避けようと車が事故を起こし積んでいた梯子が飛んできて盛大に首が飛ぶ。
誰だよ!参考資料に「デスノート」と間違えて「ファイナル・デスティネーション」シリーズを監督に渡した奴は!!

それもこれも初っ端から死因に「頭部切断」なんてアグレッシブなこと書くライトくんと書かせたリュークが悪い!
本作では心臓麻痺なんてダセーよな!!とばかりにやたらとゴア&見栄え重点に人が死んでいく。力の入れどころが違くないか?!
また原作ではあくまで観察者でしかなく、殺しに関してもノート頼みだったリュークだが、ハリウッド版では彼自身が運命率を操作してノートに書かれたことを実行している節がある。
流石に「トイレでサメに襲われて死亡」みたいな無理のある死因は不可能だと語っているのだが、「それまで普通に稼働していた観覧車が突然倒壊して死亡」は出来ていたので無理のある死因の基準がガバガバすぎる。あとトイレでサメは前例があるんだよなァ…

では内容はと言うとLNW以上に頭脳戦をしてくれない。
尾行しているFBIの抹殺法にしても、「スタンガンで返り討ちにして名前を調べて操ってまとめて殺す」という「それが出来るなら、ノート使わずに殺しちゃえよもう!!」という脳筋っぷり。
また本作では「ノートの所有者にしか死神は見えない」といったように原作と異なるルールや原作にないルールも多い。
そこはハリウッド版用に再設定したルールとして徹底させているなら問題はないのだが、あろうことか後出しで新しいルールを提示してくるので困惑するしかない。
作中でライトくんが「ノートのルールが多すぎる!!」と文句を垂れていたが、こちらとしても説明されていないルールが多すぎるのでイーブンである。


キャラクターにも触れておこう。
本作で原作と大体同名かつ大体そのままなのはライト、L、ワタリ、死神リュークである。
ライトの恋人や父親も出るがミサミサや高田、夜神総一郎とは関係性が同じだけで完全別人のオリキャラみたいなものだ。
まあ前者4名も大体と言ったように半ばオリキャラのようなもんだけれども…そこを説明していく。

ライトくんは窪田版から終盤の頭のキレや狂気を除いてイキリを加えてしまったような人間性のナードでしかない。
リュークに脅される形で渋々ノートを使い始める消極性でFBIやLの殺害も躊躇うなど、一応相応に良識的なのだがあまり見ていて楽しいタイプの主人公ではない。
でもノートを意中の彼女へのアプローチのためだけに見せつけるあたり、やはり生粋のナードである。
しかも、その彼女がFBI捜査官を素で倒せるレベルの凶暴性を持っていたため、Lとは別に彼女からも追い詰められていくので本当にどうしようもない。

Lは本作では黒人。やはり世界最高峰の探偵として知られているが、顔は下半分しか隠さないし、容疑者の前で顔バレして煽ってくるLNWの竜崎ばりの不用意さのためやはり不安になってくる。
顔の隠し方こそ甘いものの情報は残さない抜け目なさを持ち合わせている…と思ったら、従者のワタリはネット検索で本名がバレる(描写的にそうでないと説明がつかない)レベルのガバガバさで、彼を操られて一気に窮地に陥るため、セキュリティ面もやっぱりLNWの竜崎レベルと言わざるを得ない。
そして終盤では復讐に取りつかれて推理を放棄した挙句、銃をぶっ放しながら追いかけてくる。
お前のどこが世界最高峰の探偵なんだよ!!

ちなみに吹き替えはリューク役の中村獅童がアニメ・映画から続投しているがそれ以外は一新されている。
「なるほど~夜神月役といえば島崎信長なのですね!」
「宮野だ!!」

総評としてまあ駄目な方の映画ではあるんだけれども、(何かを盛大に勘違いした)見せ場はあるため突っ込みながら見る分にはちょうどいいかもしれない。
現に自分はゲラゲラ笑って、ネトフリ入ってよかった~と思いながら見ていた。
別にこの作品そのもののためにネトフリ入る価値があるって意味ではないです。

ある意味オススメ!