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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのharuのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

プレゼントをもらったら、お返しのプレゼントを。レモネードをもらったら、お返しのレモネードを。大事な人を奪われたら、お返しにあなたの大事な人を奪います。

医師のスティーブンは、美しい妻と二人の子供と幸せに暮らしている。そしてなぜか昔担当した患者の息子マーティンとたまに会っている。ある日息子が突然歩けなくなり、食事もとらなくなる。やがて娘も同じ状態になるが、原因は全くわからない。途方に暮れたスティーブンに、マーティンが解決策を教えます。

ヨルゴス・ランティモスの作品はいつも独特の雰囲気醸し出してますが、今回も同様でした。マーティンの存在感はすごいですが、ストーリーのテーマは「家族」だと思います。
一家の主は夫であり父であるスティーブンで、妻と娘は彼にそこそこ忠実です。ところがこれがマーティンが一家の前に現れてから崩れていきます。娘はマーティンに惚れ、妻もマーティンにひれ伏します。女性陣の主がスティーブンからマーティンに変わったのです。一方息子は元々父に反抗的で、マーティンにも懐かない。これは息子もやがて夫となり父親となるからです。父親にとって息子は守るべき存在であると同時に、いつか自分の立場を脅かす存在にもなりかねない。つまりラストは偶然ではなく、必然かと思いました。
娘の自己犠牲精神は、タイトルにもなっているギリシャ神話と関係がありそうですが、心からの発言なのかは不明です。スティーブンが「選ぶ権利」を持つことが発覚した瞬間の、家族の「私は助けてね」アピールがあからさますぎる!特に妻にはびっくりです。
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