ケイスケ

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアのケイスケのレビュー・感想・評価

3.6
お菓子をパクパク食べて観始めたら最初の場面で“あれ”ですよ。ランティモスこら!😡

『女王陛下のお気に入り』が面白かったので、ヨルゴス・ランティモス監督の他作品も鑑賞。演出や劇盤のクセが強いのは本作も同じですがとても面白かった。この監督の作家性、自分的にすごく好みかも。てか“鹿殺し”ってタイトルに付くから狩りやハンターの話かと思ってたわ。

ギリシャ悲劇の『アウリスのイピゲネイア』が元になってる本作。ええ、教養が無いため初めて聞きましたよ。映画を見終わって色々調べてみるとなるほど本作と通じる部分が随所に散りばめられてます。

ランティモス監督の映画って不思議な作風ですね。女王陛下のお気に入りは史実の映画だからそこまででも無いんだけど、本作や『ロブスター』は画的には淡々とした落ち着いた演出ですがファンタジーや寓話要素が強く劇伴の使い方が独特。このイヤ〜な気味の悪い感覚がとても心地良い。

マーティンを演じたバリー・コーガンさぁ…とにかく佇まいが異様で恐ろしいし話し方の間の取り方も絶妙。『ダンケルク』や『アメリカン・アニマルズ』に出ていた役者さんですね。パスタの食い方が汚ねぇなおい!マーティンの母を演じたアリシア・シルヴァーストーンは出番は少ないですが、一箇所「おっ…」となる踏み込んだ場面がありますね。

とにかく話の不条理感がおぞましい。家族に起こる悲劇の始まりの原因はコリン・ファレル演じる父のスティーブンにあるっちゃあるんだけど。でも歩けなくなる呪いは本当に嫌だなあ。子供たちが這って歩く姿は非常に居た堪れない。不条理ホラーが好きな方はオススメです。まさかこんな内容の映画とは思わずに観たためお得感がありました。