NFLニューオーリンズ・セインツ所属のアメフト選手、スティーブ・グリーソン。選手の割には小柄であったが、2006年のハリケーン被害に見舞われたかの地で劇的なゴールにより再開後初勝利をもたらし、人気選手として7シーズン活躍した。
そのゴールから5年後、スティーブはALS(筋萎縮性側索硬化症)の発症の宣告を受け、また妻のミシェルから妊娠を告げられる。余命数年と言われるなか、まだ見ぬわが子のためにビデオダイアリーを綴り始める…。
現在も闘病中の、元アメフト選手のドキュメンタリー。ちょうどこの時期に上映されていてアレですが。感動ポルノと揶揄されがちな題材だけどすごく力づけられる、ポジティブな気持ちが残る作品だった。
こういう内容こそ、24時間テレビで取り上げるべきでしょ。
自分が幼少時に父親から受けたような思いをさせたくない、うまれてくる子供には愛情を存分に注ぎたい。病気を言い訳にチャレンジすること、QOLを保つことを諦めたくない。その上で、明確な治療法が見つからないALSの研究や、患者のQOLを高める啓蒙活動のための財団を設立。
「病気を言い訳にしない」スティーブの振る舞いは素晴らしいし勇気をもらえる。しかし病状はみるみる悪化していく(呂律が回らなくなる辺りまであっという間で、この病気の怖さを思い知った)。
食事も排泄も自由が効かなくなり、苛立ちをぶつけることすらできない。意識はしっかりしてるのに、これまで出来てきたことができなくなるのがこの病気の怖さだな…
スティーブは若干クリス・プラット似のガタイのいいアメフト選手だったのに、終盤筋肉削げ落ちてたのはショックでした。
そして、スティーブの介護と生まれた息子リヴァース(めちゃくちゃ可愛い!)の育児どちらも頑張ってる奥さんのミシェルは、本当に尊敬に値する。アメフト選手の妻にしては派手さが全くない(チアガールみたいな嫁さん多そうという偏見です)、自由でクリエイティブな面を持つミシェル。
夫と息子の世話に悲観的にならずユーモアを忘れない姿は見習わなければ…と痛感。
自暴自棄になったり険悪な雰囲気になる所もきっちり描いた結構生々しい内容で、ガチな空気を醸し出していたな…。
治療法が確立していないALSだけど、患者の生活を助ける技術が凄い!「博士と彼女のセオリー」で描かれていたものより進化し一般的になっていたのは希望を感じました。
あとエディヴェダーいい人だね…「リストバンドがあってよかったよ」のくだり泣ける。
パールジャム好きな人は絶対観るべき。
スティーブとミシェルの夫婦が強すぎるんだけど、出てくる人はほぼいい人(父親はちょっとイライラするけどスティーブのことを思っているのは伝わった)。
こんな環境で育ったリヴァースは、父親同様優しいナイスガイになるはずだしなってほしいな。