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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~のYYamadaのレビュー・感想・評価

3.8
【ヒューマンドラマのススメ】
 ~映画を通じて人生を学ぶ

◆作品名:
サウンド・オブ・メタル
  -聞こえるということ-(2021)
◆主人公のポジション
突然の難聴に見回れたドラマー
◆該当する人間感情 (24種の感情より)
 絶望、楽観

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・ドラマーのルーベンは恋人ルーとロックバンドを組み、トレーラーハウスでアメリカ各地を巡りながらライブに明け暮れる日々を送っていた。しかしある日、ルーベンの耳がほとんど聞こえなくなってしまう。
・医師から回復の見込みはないと告げられた彼は自暴自棄に陥るが、ルーに勧められ、ろう者の支援コミュニティへの参加を決意する…。

〈見処〉
①彼が耳にしたのは「喪失」か
「希望」か——
・『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』は2019年に製作されたドラマ映画。監督・脚本は「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ 宿命」の脚本家ダリウス・マーダー。
・聴覚を失ったドラマーの青年の葛藤を描いた本作は、2020年8月に全米公開予定をだったものの新型コロナの感染影響を受け、同年11月に北米公開。配給権を持つAmazon Prime Videoにより、同年12月4日から配信が開始された。
・本作の主演は『ヴェノム』のリズ・アーメッド。共演は『レディ・プレイヤー1』のオリビア・クック、『007 慰めの報酬』のマチュー・アマルリックに加え、実際に聾者の女優である『エターナルズ』のローレン・リドロフが脇を固めている。
・本作は2021年の第93回アカデミー賞にて作品、主演男優、助演男優、脚本など6部門にノミネートされ、編集賞、音響賞を2部門を受賞。ライヴ演奏による激しい音響もさることながら、難聴という聞こえない世界の静寂を表現したサウンドデザインが、
聴覚障害を抱える人々が経験していることを見事に描き出したと多くの批評家から絶賛された。

②結び…本作の見処は?
ヘッドホン着用により、没入感鑑賞を体感したい作品。
◎: 聞こえない音響演出でアカデミー賞。まるでお風呂場でのヒソヒソ話のような難聴のルーベンに聞こえる騒音を、シーンの所々に織り交ぜる演出が本作の一番の特徴。認知症患者の悲痛を描いた『ファーザー』(2020)同様に、聾者のおかれる環境が体感出来る実験的な作品。
○: ジャケット写真の印象から、ヘヴィ・メタル演奏者による退廃的の日常を描いた作品と思いきや、コミュニケーションに難のある青年の再生の物語。エモーショナルな演出がなく、直感的な感動はないが、ラストシーンの主人公同様に、多くの気付きを与えてくれ、確実な余韻を残す。

③本作から得られる「人生の学び」
日々の喧騒を時には遮断し、静寂の中に平穏な自分を探してみよう。
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